飯豊山
(標高2105m)
【 地 域 】山形
【 天 候 】1日目/晴れ 2日目/晴れ
【 天 候 】3日目/雨のち晴れ 4日目/晴れ
【 季 節 】夏
【 山行 形式 】避難小屋泊(有料)
【 入 浴 】飯豊山荘


【 交 通 】
行き 北千住(21:44)〜上野(21:52) 青春18切符
上野(21:58)〜神田(22:02)
神田(22:08)〜新宿(22:20)
新宿(23:10)〜新潟(04:51) \500(ムーンライトえちご指定席料)
新潟(05:18)〜新津(05:36)
新津(06:06)〜山都(08:12)

山都駅(08:45)〜川入(09:30) \930
 バス
帰り 飯豊山荘(15:53)〜小国(16:48) \700
小国(17:30)〜坂町(18:13) 青春18切符
坂町(18:57)〜新発田(19:19)
新発田(19:20)〜新潟(20:00)
新潟(23:55)〜新宿(05:10) 青春18切符+\500(ムーンライトえちご指定席料)

【 コース 】
1日目 川入〜(0:50)〜ゲート〜(3:00)〜横峰小屋跡
       〜(0:50)〜地蔵山分岐〜(1:30)〜三国小屋
(泊)

2日目 三国小屋〜(1:50)〜切合小屋〜(2:20)〜本山小屋
         〜(0:20)〜飯豊山〜(1:30)〜御西小屋
(泊)
御西小屋〜大日岳(往復)

3日目 御西小屋〜(3:00)〜烏帽子岳〜(1:50)〜梅花皮小屋
         〜(0:40)〜北股岳〜(1:20)〜門内小屋
(泊)

4日目 門内小屋〜(0:40)〜扇ノ地紙〜(0:50)〜梶川峰
         〜(2:20)〜湯沢峰〜(1:40)〜飯豊山荘


【 水補給ポイント 】
・各小屋、登山道にたくさんあり
・地蔵山の『峰秀水』は未確認


【 食料補給ポイント 】
・切合小屋/本山小屋
・御西小屋/梅花皮小屋
(各小屋に多少売っているがあてにはできない)
【 おすすめ休憩ポイント 】
・飯豊山山頂/門内小屋ベンチ


【 個人メモ 】
・アブ対策はしっかりと
・川入へのバスはバス会社HPではなく時刻表で確認


【 1日目 】
夏休み登山に北アルプスはマンネリと言うか、ちょっと飽きてきてたので、今回は東北の山に行こうと『飯豊山』を計画。
青春18切符で安く行けるというのも魅力。
4日あれば飯豊連峰の主脈を縦走できる。
できるだけお金をかけずに行きたいのと、満足感を求めてテント泊に決めるも、いろいろとHPを見て情報を探っていると、自然保護からできるだけ小屋を利用して欲しいとの事。
前週の『五竜岳』へテント泊で行けたのなら迷わずテント泊を選んだけど、残念ながら家の屋上塗装で行けなく少し体力的に自信がなかったので、自然保護を理由に小屋泊まりにする。

小屋は避難小屋で電気も食事も出ない(一部の小屋は出る)けど、この時期小屋には管理人が常駐して小屋の使用料を徴収される。
2,000円位なのでそれくらいなら全然OK。
そのかわりビールを売っているが、350mlが1000円位と他の山小屋と比べるとちょっと高いので、テントを担ぐ代わりにビールを担いで行くことにした。
結果、テント泊よりザックの重量が重くなった気がするが、飲めば減るのでいいか(笑)

天気予報では4日間晴れマーク。

「何年ぶりだ?」

夏休み登山に晴れマークが続いているのは。
まぁ昨今の天気予報はあまりあてならないので100%信用してはいないが。

それなりに忙しかった日曜日、定時に仕事が終われ無事出発。
前回ムーンライト信州で『白馬岳』へ行った時、夜行に乗る前に『新宿駅』でビールを買おうとしたら、どのお店も閉店していて結局寝酒のビールを買えなく悔しい思いをしたので、今回は乗り換え駅の『神田駅』近くのコンビニでビールを買って『新宿駅』に行ったけど、『新宿駅』に着いてみると駅構内の売店がまだ開いている。
そうか!売店は23時まで開いているのか。
前回は23時過ぎて『新宿駅』に来たからね。
またひとつ経験を積んだ(笑)

『新潟駅』へ向かう『ムーンライト越後』は、東京で遊んだ人たちが帰るせいかほぼ満席。
満席だったせいか車掌さんの切符拝見がなく『新潟駅』に到着。

当初の予定では『新潟駅』からひとつ手前に停車する『新津駅』で降りる予定だったけど、この辺に詳しいお客さんの話によると『新津駅』にはなんにもないよとの事。
1日目の夕食をちょっと豪華にしたく、コンビニで食料を手に入れておきたかったので、各コンビニのHPで『新潟駅』『新津駅』で店舗検索すると、『新津駅』にはセブンイレブンがあるけど駅からだいぶ離れている。
『新潟駅』には駅近くにはコンビニが結構あるので『新潟駅』で降りることにした。
コンビニで朝食分とソーセージとミートボールとポテトサラダを購入し、クーラーボックスに入れて再び電車に乗り『新津駅』で乗り換えのため下車。
乗換えまで30分近く時間があるので改札を出てみると、駅の階段を下りたすぐそばにコンビニがあるじゃないか。
コンビニは『デイリーヤマザキ』だった。
セブンイレブン、ローソン、ampmなどメジャー(?)なコンビニをHPの店舗検索で探して諦めたのだが、デイリーヤマザキは盲点だった。
中に入ると『新潟駅』のコンビニより食材は豊富だった。

『川入登山口』へ向かうバスがある『山都駅』で降りるけど、登山の格好をしているのは俺1人。
すでにバスが待っているので乗り込み、ザックを席に置いて駅周辺を散策するも、商店街みたいなのは駅から少し離れていて駅前には何にもない。
ふっとバス停にあるバスの時刻表を見て驚いた。
なんと『川入』へ向かうバスがあるのは今日までだった。
会津バスHPで調べて25日まであると思って来たのだけど、今日までだったとはギリギリじゃん。
危ない危ない、下手すりゃタクシーだったかもしれない。
やはりきちんと時刻表で調べないといけないな。

登山者1人と地元のお客2人を乗せてバスは出発。
『川入』に着く頃には俺1人。

「え!ここで降りるの」と思うような所が『川入』のバス停。
地面に『飯豊山』登山口の方向が書いてあり、それに従って進むと民宿街に出る。
ここで泊まって『飯豊山』へ向かう人、下りてくる人で商売になるのだろう。
民宿街を抜けると下が砂利道で歩きにくい林道を30分ほど歩いて『川入キャンプ場』に到着。

駐車場には車が数台駐車しているけど人は2・3人しかしない。
登山届けを出せる小さな小屋に入り、登山届けを書いて提出して準備運動して出発。
『大滝遊歩道』との分岐まではなだらかで快適な道。
当然ながらそれはいつまでも続くわけではなく、目の前に階段状になった登山道がはるか上のほうまで続いている姿が目の前に。
ザックの重さに後悔する時。

事前の調べでとにかく『川入』から尾根筋に出る『地蔵山』までの約4時間の登りはつらいことはわかっている。
空は時々日が差し込めるが、ほとんど霧に覆われていて展望はない。
まぁほとんど樹林帯の中なので展望を望めるような場所はなく、かえって日に照らされないで暑くなくて良い。
30分〜50分くらいの間隔で『下十五里』『中十五里』『上十五里』『笹平』と休憩ポイントがあってなかなか良いテンポになりそれほど苦がなく『横峰小屋跡』に到着。
ここで『地蔵山』山頂を目指すコースと、山頂を目指さないで『水場』を通り、『三国小屋』へ向かうコースに別れるが、『中十五里』の水場が確認できなく水が心許なかったので、『水場』へ向かうコースへ向かう。
小屋で聞いた話だけど『地蔵山』の山頂ははっきりしてないらしく今は『地蔵岳』山頂へのコースを歩く人はいないらしい。

『峰秀水』の水場は冷たい水がいっぱい流れている。
そこには「三国小屋のトイレは水洗でペットボトル1本分(500ml)の水が必要です。ご協力おねがいします」と書いてある。
『鍋割山』の『鍋割山荘』と同じだね。
『鍋割山』へ行ったときは小屋は利用しなかったし、夏休み登山の訓練として5kgの鉄アレイをザックに入れていたので余裕がなく協力しなかったけど、今回は小屋を利用するので水の協力しようと、2リットルの水筒をパンパンにして協力する。
飲み水満杯に加え2kg増のザックは今登山最大重量になり重い重い。
小屋に着くまでの1時間、「明日からはザックが軽く感じる」と思いながら、滑落事故や死亡事故が起きている『剣ヶ峰』に出る。
ガレ場で両側が切れ立った細い場所など、確かに雨や風の強い日は危ない場所だ。

霧で下が見えないので高度感を感じなく、要所には鎖などがあり慎重に登れば問題なし。
ふっと二年前の『槍ヶ岳山荘』への登りを思い出したけどあそこよりはまだ楽。
残念ながら見晴らしの良い小屋に着いても霧は晴れてない。

小屋は管理人が在住するくらいだから、今まで見てきた避難小屋よりもちょっとは立派な造りなのかと思ったけど、どこでも見るような2階建てと板の間の、ありきたりな小屋だったけど管理人の部屋は別にある。

管理人を探すも管理人の部屋にもいなく小屋にはいない。
すでに宿泊する登山者は2階でくつろいでいる。
小屋に入る前に小屋の外で談笑している3人に挨拶をしたけど、挨拶を返されただけで管理人のような感じでもない。
「でかけているのかな?」と思いザックを降ろして一段落。
しばらくすると坊主頭に半ズボンの人に声を掛けられ、さっき外で談笑していた3人の1人が管理人さんだった。
宿泊をするとは思っていなかったので声を掛けなかったそうだ。
15時頃に着いて次の小屋まで2時間近くかかるので「行くはずないだろう」。
普通の管理小屋と同じく「どこから来た」「明日はどのコース」など記帳し小屋の説明を受ける。
トイレに案内され「そうだ水」と思ったら水はポリタンクにいっぱい入っている。
小屋近くの水場から汲んでくるので水はたっぷりあるそうだ。
すっかり無駄な苦労をしたようだ。

重いザックを持って2階に上がるのは面倒なので、1階を寝床にして準備。
このままま他の登山客が来なければ1階は貸切状態だったけど、その後2人組が2組来て、1組は2階に、1組は1階を寝床にした。
この小屋は調理台と称して1m四方の板にステンレスを張り、その上でならコンロを使っても良いとのこと。
調理台は2台あったので、1台まるまる自分用に使えた。

5時頃に夕食。
持ってきた缶ビール4本の内2本を飲む。
小屋にも缶ビールが売っていたけど350mlで600円。
バケツに張った水に浸けてあるだけなので冷えていないのは一目瞭然。
『峰秀水』で水を汲んだ水筒がギンギンに冷たかったので、その上に持って来た缶ビールを時々コロコロ回しながら置いておいたら、バケツの中の缶ビールよりは確実に冷たくなった。
朝コンビニで買ったソーセージをフライパンで焼き、それをツマミに飲むが、山では香ばしい匂いはとても食欲をそそる。
小屋の管理人さんが日本酒のパックを手に持ちやって来る。
宿泊者の忘れ物だと。
宿泊者全員に振舞い、俺は缶ビール2本と日本酒ですっかり酔ってしまった。
窓を見ると外が明るく見えたので外に出てみると、霧が晴れてきだし登ってきた『剣ヶ峰』や明日向かう『飯豊山』本山が姿を現していた。
小屋に居た人たちも外に出てきて、地元の登山者や今回の俺のコースの逆を歩いてきた人達の話などを聞きながら展望を楽しむ。
『梶川尾根』を下ると言うと「あそこは大変だよ」なんて教えられる。
下りが長く『飯豊山荘』が見えてもなかなか着かず、『飯豊山荘』にはふらふらになりながらたどり着き、疲れ切った足の重い靴をぱっと脱いで座り込んでしまうほどきついとびびらされる。
なんか4日目が憂鬱に思えてしまった。

夜行で来たせいか、久々のザック重量で疲れたせいか、19時前には寝てしまった。
しかしこの時期シュラフの中は暑い。
中に入ってしまうと暑いので、掛け布団状態にするのが一番快適。
相変わらず0時には目が覚めて、朝食の準備をする5時頃まではウトウトと夢を見ながらの浅い眠りで時間を待った。


【 2日目 】
きつきつな計画ではないので小屋でのんびりしていたかったけど、4時30分頃には小屋が騒ぎ出すので寝ていられない。
小屋の中はうっすらと明るいので今日も快晴。
朝食は朝からいろいろと作るのは面倒なので、フリーズドライのおかゆと味噌汁。
いやぁ〜味噌汁がうまい。
ホタテの味噌汁だったけど、貝柱が2つ入っていてこれがうまい。
いつもは飲まない朝のコーヒーなんかを飲み、小屋一番最後に出発。
飯豊連峰最高峰『大日岳』や今夜泊まる『御西小屋』まで見えるほどの快晴。

まずは『剣ヶ峰』で登ってきた分を下るが、ここ『七森』も滑落事故が起きているほどの急な傾斜なので注意。
あっという間に『三国岳避難小屋』が遠ざかる。


『種時山』辺りから快適な尾根歩きが始まる。
空は青空なので遠くの山並みが見えるが、相変わらず何の山なんだか?
方角から見てあれは『朝日連峰』、あれは『吾妻連峰』、『岩手山』と勝手に決め付けて自分を納得させる。
しかし1日目に登ってきた『三国岳』への山を見るとその一帯にだけ雲がかかり、その下は昨日と同じ霧に巻かれているようだ。
そこはいつもそうなる所なんだろうか?

『切合小屋』が見えてきた。
その先には『飯豊山』への登山道が上の方に続いているのもわかる。
北アルプス「三俣小屋からの鷲羽岳」や「種池山荘からの爺ヶ岳」と似たような景色。
『切合小屋』は今回のコースではいちばん立派な小屋だった、
テント場はあるし、事前に言えば食事も提供してくれるらしい。
『川入』をあと2時間早く出発できれば、1日目でここまで来てテント泊できるのだけど。
小屋であまり冷たくない水を補給し小休止をして出発。

『飯豊山』への本格的な登りの始まる所までは苦もなく到着し、本格的な登りが始まる前に小休止兼ティータイム。
最近日帰りの山へ行くときは家でサーモスにお湯を入れてそのお湯でお茶をしている。
けっこう熱さが持ち、お昼くらいまでは熱々のお湯。
今回、宿泊登山では初の試み、出発前に小屋でお湯を沸かし、それをサーモスに入れて来た。
手早く簡単なのでこりゃいいわ。

計画にゆとりのある山はいいね。
後から来る人に抜かれても余裕。
いっぱい写真を撮ってゆっくりお茶して、ザックの背に当たる部分と俺の背中が乾くまで休憩をして出発。

昨日より軽く感じていたザックが再び重く感じる登りが始まる。
汗がだらだら流しながら5分歩いては休憩を繰り返しながら標高を稼ぐ。
息遣いは荒くなるけど心臓の鼓動は平常。
見た目よりも大丈夫。
だんだんと三点支持が必要な岩登りが始まる。
前からも後ろからも来る人がなく落石の心配もなく、自分のペースで登れるのはやはりありがたい。
ここを乗り越えれば再び快適な尾根歩きが始まる。

交差した人に『飯豊山』山頂付近には「イイデリンドウ」が咲いているよと教えてもらうが、「イイデリンドウ?」花には無知な男にはなぜ「イイデリンドウ」が咲いていると教えてくれたのがわからなかったが、その名の通り『飯豊山』でしか咲いてない「リンドウ」の一種で、これを見るのが楽しみでこの山に来る人も多いのだそうだ。
「リンドウ」自体どんな花なのかもわからないのでどれが、「イイデリンドウ」かわからないまま花を眺めながら歩く。

『本山小屋』のテント場にたどり着く。
2張りのテントが張ってあるが広いテント場で景色も良く水場も近い。
ここにテント泊もいいなぁ〜。
『本山小屋』に着くが、小屋の外見は『三国岳避難小屋』と代わりがない。
休憩したいような疲れもなくここに居たいような気もなくで飯豊山神社の鳥居を何となくで通り過ぎてそのまま『飯豊山』山頂を目指す。
『本山小屋』から山頂までは、20分ほどかかるが快適な尾根道。
『飯豊山』から先の『尾西岳』への登山道がはっきりと見えてくると、歩くのが楽しみになるような登山道なのでわくわくする。


『飯豊山』山頂は山頂にしてはちょっと狭いかな。
今まで『飯豊山』で見えなかった向こう側の景色が山頂から眺められる。
ほとんどの人はここで引き返す人が多く、のんびりと休憩をしているが、俺はこの先へ進み今日中に飯豊山最高峰『大日岳』を往復しておきたいので軽めの小休止をして出発。

ガレ場の急な傾斜を下るが登山道の幅が広いので危なさは感じない。
最盛の花の時期は過ぎているそうだけど、ここから『御西避難小屋』までは花畑があちらこちらにありフラワーロード。
2・3の山を巻いていくけど傾斜はきつくなく快適な登山道。
『大日岳』がずっと見えているのだが、尾根を境にして霧がかからないで留まっている。
霧の中『大日岳』に登っても、山頂からの展望がなければ今日登らなくても明日の朝登る時間はあるけど、明日の朝が晴れる保証はなく、『吾妻山』の『西大嶺』での失敗を繰り返さないためにも、雨さえ降っていなければ登ろうと決め歩みを少し速める。

尾根上に建つ『御西避難小屋』に到着。
今日は管理人さんが管理人室に居た。
見た目70歳台くらいのおじいさんだがめちゃくちゃ愛想がいい。
あまりこの小屋に泊まってくれる人がいなくて寂しいとの事。
『大日岳』への分岐地点で『大日岳』に登る人はここに宿泊するんじゃないか?と思うけど、皆『大日岳』には登らないのだろうか?
「ゆっくりしなさい」と言われるけど、これから『大日岳』を目指すと言うと「行って来な、行って来な」と嬉しそう。
サブザックは持っていなくザックの中身を出し、必要なものだけを入れて行こうとすると、おじさんのサブザックを貸してくれた。
一眼レフカメラを持っていることを知ると「途中池が見えるからそこをしばらく藪漕ぎすると道があって池の側まで行ける。そこからの逆さ『大日岳』の写真が撮れると教えてもらった」。
荒らされると困るから道は作ってないそうだ。


一旦鞍部まで下り『大日岳』への登りが始まる。
この登山道には花があちらこちらに咲いていてちょっとしたお花畑になっているが、「チングルマ」の大群生しているお花畑が得に見事だった。
山頂に近づくに従ってだんだん傾斜がきつくなり、軽身の体でも時々休憩をしながら山頂にたどり着く。
天気がよければ『佐渡ヶ島』まで見えると言っていたけど、残念ながらそこまで天気は良くない。
けど霧に巻かれず展望がばっちりだが、やはりどれがなんの山か知らないことには感動が少ないなぁ。
けど飯豊連峰の最高峰に登れたことで達成感は十分。
あまり山頂に長いはせず早々に引き返すが、先ほどの鞍部に着く頃には雲行きが怪しくなりだし、すっかり霧に巻かれてしまった。
なんか明日は雨が降りそうな雰囲気だった。

小屋に着くとテント場にテントが張ってある。
きちんとしたテント場であまり自然保護を考えなくても良さそうなテント場だった。
これなら次回はテントでも良いんじゃないかな。

「あまり泊まる人がいない」と言っていたけど今日は泊まる人が多いみたい。
指定された2階の寝床に行くと残念ながら左右に人が寝るようだ。
ザックを置く場所は離れており、昨日の『三国岳避難小屋』より混雑していて快適さはない。

この小屋はコンロ使用は1階で使用との事。
夕食道具を持って下に下りると1階はすでに食事を始めている人で座るところがない。
小屋の外は明るく霧も晴れたみたいなので外で食べるかと外に出ると、管理人さんが「何してるの?」と外に出てくる。
「混んでいるから外で食べる」と言うと「何言ってんの?そんなんじゃダメだよ」と。
「せっかく山小屋に泊まってるんだから他の人と山の話をしながら食事しないと」
「お兄さんは写真が好きなんでしょ。写真が好きなお客さんいるからその人と話しなさい」
等と叱られ、小屋に入ると俺の場所を空けさしてくれ写真が好きなお客さんを紹介してくれる。
その人が中心になり、他のお客さんと山の話が始まり、見ていないのでわからない「天地人」のオープニングはどこで撮影したとか写真や『飯豊山』、『イイデリンドウ』のことなどの話を聞いての夕食となった。
『リンドウ』自体どういう花か知らないけど、5・6枚の花びらで花びらの間に何も無いのが『イイデリンドウ』なのだそうだ。
長い居になったので缶ビール1本では足りなくなり、350mlが1000円する缶ビールだけど、管理人さんにサブザックを借りたことだしお礼の意味でビールを買うと、管理人さんに言うと「え?1000円だけど良いの?」とびっくりされた。
お礼(?)につまみをあげると言われるが、つまみはあると言うと試供品の小さなビールをくれた。
「他の人には内緒だよ」との一言と共に(笑)

すっかり気持ちよくなり、小屋の中が寝る雰囲気になると寝床へ行き寝る準備。
必要なものを枕元に置いて寝袋の中に入って寝る。

いびきがうるさい。
しかも左右の人がいびきをかき、特に左隣の女性が一番うるさいいびきをかく人。
なかなか寝付けず耳栓を探すも「しまった、ザックの中だ」
取りにいくのもザックは遠くで面倒だし。
あまり熟睡できないまま朝を迎えた。



【 3日目 】
いびきのうるささも眠気には勝てず、熟睡し始めた頃になると小屋が騒ぎ出す。
皆、行動時間が早い。
『大日岳』は昨日登頂を済ませてあるので、ゆっくり寝ていようと思ってもそうもいかず。
天気が悪そうで「雨降るかも」なんて声が聞こえてくる。
気になり外を見ると確かに霧に巻かれてしまいどんよりとした外だ。

朝食を食べるに下へ降りると半分以上の人は出発した後だった。
広々とした1階でのんびり朝食を食べていると「熱中症対策」と言いながら、管理人さん自家製の梅干を1人1粒づつ配っている。
当然俺も1粒いただいた。

1日目に宿泊した『三国岳避難小屋』で『尾西避難小屋』から先は花が素晴らしいと聞いていたので楽しみにしていたのだけど、残念ながら霧で真っ白、10m先も見えないほどで髪の毛が濡れるほどの濃い霧が漂っている。
先が見えない山道ほど不安なものはない。
出発する前に地図でコース確認をしてあり、分かれ道などなく登山道通りに歩けば大丈夫とはわかっていても不安。
ところどころにある指導標をみるとほっとする。

『天狗岳』山頂を目指すも、先が見えないのでなんか山頂に向かっている気がしない。
登山道の脇には確かに花がたくさん咲いているけれど、やはり霧の中では色の鮮やかさもなく、あまり関心が沸いてこなく黙々と歩いていると、空からポツリポツリと雨が降り始めるが、「まだ大丈夫だろうが本格的に降り始める前に」と思いレインスーツのズボンとザックカバーを装着。
思った通りそれほど強くは降らず、しばらくして雨がやみ、『天狗の庭』を見下ろせる所に来ると霧が薄れ始め、景色が霧の晴れ間から薄々と見え始めた。
『天狗の庭」』はちょっとした湿原と所々に池唐があり、その先には山並みが広がっている。、
今まで先も見えずに真っ白だったのに、霧が薄れていき雄大な景色が目の前に広がっていくのはなんど見ても感動の瞬間だ。
「シャッターチャンス」と思いザックにしまってあったカメラを取り出し、写真を撮りカメラをぶら下げたまま歩き始めるとまた雨が降り始める。
こんどはちょっと強めの雨だ。
とうとう本降りなった思い、広い場所でレインスーツの上着とスパッツを装着し雨具を完全装備すると、今夜宿泊する『門内避難小屋』から来たと言う登山者と会った。
これから『飯豊山』に行き、また『門内避難小屋』に戻ってくるそうで、今夜は同宿になるようだ。
気になっていた水場に水は流れているかどうか聞くとガンガン流れているそうだ。
昨日『尾西避難小屋』の夕食時に「『門内避難小屋』の水場は充てにできないから、手前の『梅皮花避難小屋』の水場で補給していったほうが良い」と聞いたので、ザックが2キロ重くなるなと覚悟していたのだけど、ガンガンに流れていると最新情報を聞けたのはうれしい。

直前に雨具の防水処理をしてきたので雨を弾く雨具にちょっとうれしかったけど、レインスーツを着ての山歩きは憂鬱。
「今日はもうただ小屋を目指すのみだ」と覚悟を決めて歩き始めた5分後、雨足は弱まり空の切れ間に青空が見え出し、時間が経つごとに青空が広がり日が照り始めた。
雨具はもう用なし、と思えるほどの青空が広がっている。
「いったいあの霧は、あの雨はなんだったんだろうか?」と思えるほどの天候の移り変わりだ。

青空が見え出すと一気に青空が広がりすっかり快晴の空になり日差しが熱く日焼けした腕が痛い。

『烏帽子岳』への登りまでは緩やかで、もっと早い時期に来ればもっと花盛りな登山道だろうと思えるほど花が咲いている。

後ろからの暑い日差しを浴びながら『烏帽子山』山頂に登れば、あれが『北股岳』だとわかる景色になり、『梅花皮岳』山頂に立てば、眼下に『梅花皮小屋』が見える。




『梅花皮小屋』で水補給と小休止、ついでに今夜の宿泊小屋『門内小屋』は無人なので、この小屋で缶ビールを買っておこうと小屋番さんに注文すると、今飲むのかと言われちょっと怪訝な顔をされたが、『門内小屋』で飲むことを言うと納得してくれたようだ。
『飯豊山』の小屋の親父さんは、知らないけど「古き良き日の山親父」な人が多くてなんか良いなぁ。

思ってたよりもちょっときつかった『北股小屋』を登りきれば、今夜の宿泊地『門内小屋』遠く尾根の上に建っているのが見える。
そこまでの登山道は山が連なっていてなだらか。
あまり急ぐと小屋について今日の山歩きが終わってしまう寂しさから、のんびりのんびりと小屋を目指す。

途中でコーヒー休憩をしているとき、上蓋を開いて置いてあったザックから、ポロっと先ほど小屋で買った缶ビールが落ちた。


プシュ〜〜〜


「あぁ〜〜〜落ちた衝撃で缶に穴が開いて中身がぁ〜〜〜」


山に飲まれてしまった・・・・


家から持ってきた缶ビールが後1本残っているが、それでは足りないと思い先ほどの小屋で買っておいたのに・・・


1本じゃ足りない・・・・


小屋での楽しみがなくなった・・・・


なんとも言えないむなしい気持ちを抱えたまま『門内小屋』に到着。


誰も居なく一番乗り。
さきほどすれ違った人の荷物だろう、それはあったけど。

一番乗りの特権、気に入った場所に寝床を作り、天気が良いので外のベンチで景色を眺めながらぼ〜〜っと。

だんだんと宿泊者の人たちが到着し、小屋がにぎやかになってくる。
最終的には小屋の1階は満員状態。
テント場には1張り。

悪天候以外小屋では火気厳禁なのでみんな外で夕食。

貴重な大事な缶ビール、夕食時は我慢し、寝る前の寝酒としてつまみを食べながら飲んでいると、同宿者の人がザックの中から瓶ごとウィスキーを持ってきたようで、周りの人におすそ分けをしている。

俺もおすそわけをいただけ「こんなに」と思うほどコップに入れてくれた。
ストレートでちびちび飲んだら、缶ビールとあわせてけっこう酔っ払ってしまった。
「捨てる神ありゃ、拾う神あり」今回の山は酒で困らないなぁ〜。

夜7時くらいに先ほどすれ違った人が戻ってきて、小屋はいっそう賑やかになったが、酔っ払ったせいかいつの間にか寝てしまった。



【 4日目 】
時間に余裕があるので朝はのんびりとして、ほとんどの人が出払った頃に出発。
昨日すれ違ったおじさんが小屋の焼却炉を使っている。
「ゴミあったら燃やしてあげるよ」と言われたけど、いやいや、自分で持ってきたゴミは自分で責任持ちますので。
宿泊料払わなくて良いので小屋番が居なくなるこの時期に来るんだと昨夜話していた。

天気が良く空気が澄んでいるのがわかる中を『扇ノ地紙』までは小さな起伏の快適な登山道。
振り返ればあっと言うまに『門内小屋』が小さくなっていく。






『扇ノ地紙』の分岐で『梶川峰』へ。
『梶川峰』山頂から下りが始まるので、ここで休憩して最後の展望を味わいながらコーヒータイム。

しかしこの峰、アブが特に多い。
ハエみたいなでかさでTシャツの上からでも刺してきてこれがまた痛い。
アブの嫌さは聞いていた程度で、この山で初めてのアブ体験。
こりゃほんと対策してこないと恐怖だ。

ここから樹林帯の中に潜り、1日目の小屋で大変さを聞かされた下りの開始。
えぐれているような登山道や見下ろすような下りが続くが、それほど「きついなぁ」とは感じなかったけど、違う心配をしながらビクビクしながら下っていた。

『飯豊山』に来る下調べでいろいろなサイトを見ていたけど、ブログにこの登山道で蛇の「マムシ」を見たとの報告が多数。

蛇嫌い、あの動きが嫌い。

とちょっとビビリながら下っていると、太い蛇の下半分が足元を横切っていた。
いままでの山で見た蛇で一番太かったぞ。
柄はマムシ柄じゃないのでマムシではなかったけど・・・

さらに先を歩くと、今度は小さい蛇が足元をサササァ〜と横切っていった。
飛ぶような速さだったけどマムシ柄がはっきりと見えた。

「出たぁ〜マムシだぁ〜」・・・・けどなんか小っちゃくてかわいかった。
子供かな?

なんか「かわいい」と思ってしまったせいか、今までのビビリがなくなり、蛇遭遇に恐怖感がなくなってしまった。
そうなると不思議とこれ以降、蛇には出会わなかった。

水場で水補給、滝見場で滝を眺め、眼下に『飯豊山荘』を望む最後の急な下りを無事に降り、倒れこまずに『飯豊山荘』に到着し4日間の汚れを落として帰京。

『小国駅』から『新潟駅』までの車窓は、田んぼが左右に広がり、今まで見たことはないほどの景色。
米処新潟県の威力をを見たような気がした。
居酒屋さんで食を満たし名物「へぎそば」を食べて夜行で帰った。

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