東西約6Km、南北約1kmにおよぶ本州最大の湿原を持つ尾瀬。
東北地方最高峰の「燧ケ岳」、と燧ケ岳とは対照的な「至仏山」
ほかにも三条ノ滝、アヤメ平などがあるが今回は2つの百名山を登って尾瀬ヶ原縦断、尾瀬沼半周と尾瀬の中心部の山歩き。
こんどはもっと好天の時に訪れてみたい。
【月   日】2006年08月21・22・23日
【天   気】1日目:曇り時々晴れ
【天   気】2日目:曇り時々晴れ
【天   気】3日目:晴れときどきガス
【季   節】
【場   所】尾瀬
【標   高】至仏山 2228m
【標   高】燧ケ岳(爼ぐら) 2346m
【山行形式】1日目:至仏山荘泊
【天   気】2日目:長蔵小屋泊
【風   呂】アルザ尾瀬の郷

【交通】
【行】東京駅八重洲口〜大清水
【行】大清水〜鳩待峠
【帰】御池〜アルザ尾瀬の郷
【行】アルザ尾瀬の郷〜
            会津高原尾瀬口駅
【行】会津高原尾瀬口〜鬼怒川公園駅
【行】鬼怒川高原駅〜春日部駅
【行】春日部駅〜西新井駅
【コース】
【1日目】鳩待峠〜小至仏山〜至仏山〜至仏山荘
【2日目】至仏山荘〜竜宮十字路〜下田代十字路〜白砂峠〜沼尻休憩所〜尾瀬沼山荘〜長蔵小屋
【3日目】長蔵小屋〜長英新道〜ミノブチ岳〜爼ぐら〜熊沢田代〜広沢田代〜尾瀬御池
【ベスト休憩場所】
・オヤマ田代の湿原
・高天ヶ原のベンチ
・沼尻休憩所
・ミノブチ岳
・熊沢田代の湿原
【水補給】
・オヤマ田代の水場
・至仏山荘
・長蔵小屋
【食料補給】
・鳩待峠
・至仏山荘
・長蔵小屋
【1日目】
尾瀬には百名山に選ばれている山が2つ、至仏山と燧ヶ岳、百名山にはあまり興味がないし、「尾瀬=木道歩き」のイメージが強く、尾瀬に行くのは最後の最後、「もっと年とってからでいいや」なんて思っていたけど、相棒に合わせ、夏休みを利用して2泊3日で行くことに決定。

日曜日の夜、東京駅八重洲口から出発する夜行バスに乗れば、乗客はうちらを入れて7名という少ない人数。
座席が決まっておらず、好きなところに座っていいだってさ。
こりゃ、幸先良いスタート。
ゆったりでき、酒飲んで音楽聴いて、1晩くらい寝れなくても大丈夫なのは、先週・先々週の山登りで実証済み。

まだ暗いAM4時前に「大清水」到着。
ここでAM5:00まで待っていれば、「鳩待峠」まで無料で送ってくれるバスが来る。
尾瀬林業宿泊施設対象者「至仏山荘」「尾瀬沼山荘」「元湯山荘」「東電小屋」「鳩待山荘」に泊まる宿泊者には、無料で送ってくれるサービスがあると知ったのは、「至仏山荘」に泊まろうと決めた後。
なにげに至仏山荘のHP見てたら、そんなサービスがあるのを知ってラッキー!
900円払うバスに乗って、鳩待峠へ向かう予定だったからさ。



うとうとしながら約50分くらいバスに揺られ、鳩待峠に到着。
鳩待山荘と休憩処があり、休憩処内に食事がとれるところがある。
AM6:00前なのにもう営業している。







霧に巻かれ妖しい雰囲気がある鬱蒼とした樹林帯からスタート。
緩やかな上りで始まるので、足慣らしにはちょうど良い。
木道が姿を現す辺りから、登山道に花の姿がちらほら見えてくる。
湿原でもないのに木道があるなんて・・・やっぱ尾瀬かな。

地図上にある水場に到着。
水場表示がなかったんで、教えてもらうまでわからなかった。
ここで休憩を兼ね、入れてある水道水を捨て水補給。
水の出が細く、2リットルの水筒に水が溜まるまでけっこう時間がかかる。
相棒が「あれ?なんか黄色くないですか?」
濁っているとも言えるが・・・
一口飲んでみると・・・う〜ん、なんか砂っぽいような・・・
しかし水はもうこれしか・・・まぁ、いいや、いちおう水場らしき場所だったし。
ちょっと飲んでみて腹が痛くなれば、煮沸しちゃえ。

水場を後にすれば「オヤマ沢田代」の湿原に到着。
相変わらず霧に巻かれているが、湿原には霧が似合うが持論。
この辺りから森林限界に入ったのか、空が広がり展望が開る(たぶん・・・)
至仏山は特殊な地質のため、森林限界が低いのが特徴なのだそうだ。

ここからすぐ近くの水場で休憩したのが後悔するほど、休憩に最適なベンチがあるところに出る。
ときど〜き、霧の切れ間から展望が望めるが、ほとんどは霧の中。
ここから先は「小至仏山」への登り。

木の階段や長い木道を終えれば岩場歩きが始まるが、登山道脇には花がたくさん咲いている。
それら花を楽しみながら登れば、いつのまにか小至仏山山頂に到着。
ハイマツと岩で隠れた、小至仏山山頂を示す石碑のようなものを見つけなければ素通りしてた。

岩場で群生している、色とりどりな花が多くなり、目を楽しませてくれる。
しだいに岩が大きくなり、ストックは邪魔な岩登りを終えると、そこは至仏山山頂。

すれ違う人も後から来る人もそんないなかったのに、広い山頂には意外なほど人がたくさんいる。
残念ながら霧に巻かれ、山頂からの景色はなく、皆なげいている。
尾瀬ヶ原と燧ヶ岳が絵になる、山頂からの景色なんだろうけど。


時間に余裕があるので大休憩。
情けないことに、コーヒーの粉を忘れてきてしまった。
景色を眺めながらのんびりとコーヒー。
あぁ〜楽しみが・・・・

他の登山者の声に振り向くと、霧が薄くなり、尾瀬ヶ原がうっすらと見えてきた。
燧ヶ岳を巻いている霧は晴れそうにないが、尾瀬ヶ原を隠していた霧は薄れ、くっきりとは見せてくれないが尾瀬ヶ原全貌を見渡せるようになり、皆よろこびの声。

このまま燧ヶ岳の霧も晴れてくれと、誰もが思ったに違いないが、残念ながら燧ヶ岳の姿は望めず、「また今度おいで」になってしまった。
(帰ってきてから写真を見ると、やはり至仏山山頂から見下ろす尾瀬ヶ原は絵になる。これに燧ヶ岳が写ればもっと良い写真になるだろう。これは今度日帰り至仏か?)

今夜宿泊する「山の鼻」にある至仏山荘へは、尾瀬ヶ原を見下ろしながらの下り。
「高天ヶ原」までは木道が続いていて楽チン。




これで快晴なら至仏山山頂、高天ヶ原で展望を楽しみながらのんびりとコーヒーでも楽しみたいところ。
コーヒー忘れた時点で叶わぬ思いになっていたが・・・・

高天ヶ原からは木道がなくなり、岩の露出した急な下り。
ここをすれ違いに登ってくる人がいたが、皆疲れきった様子。
いつも思うけど下りに使う登山道って「登りには使いたくないなぁ〜」て思うね。


またこの岩が滑る滑る。
岩は丸く角が削れ、濡れているわけでもないし、コケがついているわけでもないのに妙に滑る。
話によるとこの下りは危険で、一時通行止めになったことがあるらしい。




「ここで雨に降られたら・・・・」なんてことを思いながらベンチのある休憩場あたりにくると、空からポツポツきだした。
「雨具着るのはイヤだなぁ〜」なんて思いながら雨具を出そうとすると雨がやんだ。
少し青空も見えるし、日差しもあるので「狐の嫁入り」ってやつだ。








嫌に長く感じた下りを終え、樹林帯を抜ければ尾瀬ヶ原の湿原に到着。
寄り道できる「尾瀬植物研究見本園」は、最近毎日のように熊が出没するそうなので通行止めになっている。
すでに小屋は見えているので、気持ちに余裕を持ってのんびりと小屋へ向かう。





とても山小屋とは思えないきれいな至仏山荘、宿泊手続きを終え部屋に荷物を置いたら、さぁビールだ!!
ちょっと奮発して生ビール。
いやぁ〜、おじさんがグラスを傾け、めいっぱビールを注いでくれて泡は少なめ、うれしいなぁ〜。
乾いた喉と無事到着できた安堵感でビールがうまい!!

風呂に入り夕食を食べ、明日に備えて就寝。
この日、高校野球は早稲田高校(ハンカチ王子)が決勝再戦で優勝した。

【2日目】
残念ながら天気は曇り、雲が厚い。
尾瀬ヶ原横断はほとんどが木道歩き。
尾瀬ヶ原の湿原は広く、木道からは木で隠されて見えない奥の奥まで湿原が広がっている。
追い抜く人もすれ違う人も少なく、ときどき広い湿原に2人だけ、なんてのが頻繁にある。
やはり「尾瀬=水芭蕉」なんだろう、山が目的な人には良い時期なのかもしれないが。
水芭蕉は咲いてなくても、色とりどりの高山植物は咲いている。
地糖もあちらこちらにあり、湿原・木道・地糖と絵になるのが、やはり青空の下にある燧ケ岳が見えないことにはちょっと絵にならないな。
赤とんぼがたくさん飛んでいて、尾瀬はすっかり秋に入りかけている。

尾瀬ヶ原横断終点にある「見晴」には小屋がたくさんあり、相棒の調べで「弥四郎小屋」の喫茶室でうまいコーヒーが飲めるそうだ。
楽しみに来てみれば・・・準備中。
ダメだ〜、もうシーズンオフだからか気合入ってないな。
ほかの小屋では営業していたので、「雪とけ水コーヒー」に惹かれ「原ノ小屋」でコーヒータイム。

ビジターセンターやトイレに寄り道し、白砂峠超え開始。
ここからは青空天井から樹林帯の山歩き、とは言ってもやはり木道がしっかり整備してある。
だいぶ天気が良くなってきたようで時々青空が望め、樹林帯歩きは少し暑く感じてくるが、ときどき吹くさわやかな風が気持ちいい。
ところどころ紅葉している葉があり、ほんと秋近し。






白砂峠の標識を過ぎれば下りが始まる。
この峠超えは休憩に最適な場所がないので、峠でひと休憩して、そこから一気に白砂田代の湿原まで下ったほうがいい、経験者談。




白沼田代から「沼尻休憩所」まではすぐ。
吹き抜けの開放された沼尻休憩所から尾瀬沼が望め、景色はばっちり。
地図には「軽食・のみものがとれる」と書いてあったので、ここで食事でも思っていたが、12:00くらいで終わってる品が多いしで、あまりろくなのがない、好みにもよるだろうけど。
けっきょく休憩しただけで出発。





尾瀬沼を半周するようにして、今夜の宿「長蔵小屋」へ向かう。
やはり木道があり楽。
燧ケ岳が近くにあるので山並みはきれいに見えるが、空は曇り空。
いまだ良い燧ケ岳の写真撮れず。

大清水との分岐がある「尾瀬沼山荘」は売店があり、一休みにはありがたい。
ここで相棒ご推薦の花豆ジェラートを食す、ビールと悩んだが。
ちょっとざらついた食感とねっとり感、そしてなんとなく「豆!」て感じのアイス。
「ここで食べるからうまいんだな」とちょっと辛口コメントを(笑)
樹林帯の切れ間に長蔵小屋が現れる。



寅さんが泊まる温泉街の安宿のような、めっちゃ趣のある小屋(良い意味です)
本日も個室でのんびり。
宿泊受付を済まし、荷物を置き、さぁ、ビールビール。







しかし長蔵小屋は長蔵小屋、旧長蔵小屋、売店x2などだいぶ敷地を占領してるな。
尾瀬沼畔にある売店はすでに営業終了、早いよ!!
この売店近くから眺める尾瀬沼と燧ケ岳、燧ケ岳前に広がる「大江湿原」がすごい絵になる。
これを眺めながらのビールがいいのに。


しかたなく小屋そばにあるもうひとつの売店でビール、生がないぞ!。
景色はないが青空天井、涼しい風が心地よい場所。
しかしよく考えると、今日はほとんど木道歩きだから楽だろうと思っていたが、歩いてみれば7時間くらい歩いたから、けっこうきついコースだったかもしれない。

夕食後、喫茶室でコーヒー飲んだりして小屋泊りをたっぷり楽しんで就寝。










【3日目】
今日は時間に余裕を持たせるため、朝食後即出発。
空には青空が広がっているのに、残念ながら燧ケ岳にだけガスがかかっている。
なぜだ!!徹底して俺に燧ケ岳の写真を撮らせないつもりか!!

大江湿原を渡る手前に燧ケ岳への登り分岐がある。
うっそうとした樹林帯なので、ところどころぬかるんでいる所は多いが、傾斜はなだらかなので足慣らしにはちょうどいい。
しだいに傾斜がきつくなれば、尾瀬沼を見下ろせるような展望のある場所に出るが、残念ながらガスに巻かれていて一瞬の切れ間から望める程度。
下から見たように、ほんと燧ケ岳にだけガスが巻いているようだ。



森林限界が近くなったらしく、空の面積が多くなり始めたころ、小さな湿原に出る。
やはりガスに巻かれていて展望はないが、休憩するには良い場所がここ。
だけど、ここからあと20分程もうひとがんばりすれば、燧ケ岳山頂を望める「ミノブツ岳」に出るんだけどね。

ミノブチ岳がたぶん森林限界だろう。
尾根の肩という感じで展望は良い(たぶん)
晴れていれば燧ケ岳山頂、尾瀬沼、日光連山の眺望がよいそうだ。
少しここで粘って、一瞬のシャッターチャンスを狙って山頂をパチリ。

少しトラバース気味に進むと「爼ぐら(まないたぐら)」への岩登りがはじまる。
見た目はきつそうに思えるが、登ってみればあっと言う間で爼ぐらに到着。





どっちが燧ケ岳の山頂かわからないが、爼ぐらよりも標高が高いもうひとつの山頂「柴安ぐら(しばやすぐら)」はガスに巻かれていて、行っても自己満足にしかならなさそうなので、今回は爼ぐらだけにしておく。





岩場の山頂なので、座るところはたくさんある。
真上が青空なのに、展望はガスに巻かれている不運。
昼飯を兼ねて大休憩。

これが功をそうしたのか、だんだんガスが薄くなり始め、先ほどの爼ぐらや尾瀬沼が姿を現してくる。
遠くの山並みはガスで見えないが、尾瀬沼全を見下ろせただけでも良いだろう。
山頂に居た人たちも、これでなんとか納得できたようだ。

歩きにくいガレ場を下り、再び樹林帯の中を下り始める。
途中に、よほど迷い込む人が多いのだろうか?沢方面へ下らないように注意する看板がところどころある。
看板にはちょっとわかりにくいルートが書いてあったので、注意して下っていたが、誰にもわかるようにめいっぱい目立つようにロープが張ってあったので、それほど気にしないでもよかった。

俺は知らなかったけど、相棒がとても楽しみにしていたと言う「熊沢田代」の湿原に到着するが、またもやガスが覆っていて全容が見えない。

ときどき晴れる切れ間から見える湿原は、幅広い湿原の真ん中に木道が通っていて、湿原の中央にふたつの池が、木道を挟むようにならび、まるで双子の様な池がここを特徴的にしている。
時間に余裕があるので、双子の池があるところに休憩場があるので、ここにザックを置いて少し長居。
またしてもこれが功を奏し、すっきりとガスが晴れ湿原全体を望めた。
ここに居る間に追い抜いていったのは1人で、他に誰もいなくなった広い湿原に2人きり。
時間がゆっくりと流れてます。
お互い満足して出発。

ここから下った先には、もうひとつの湿原「広沢田代」の湿原がある。
こちらのほうが広いように感じるが、多きさはどちらも同じだそうだ。
熊沢は横が幅広く、広沢は縦に長い感じかな。

こちらの湿原は地糖が多く、黄色い花がたくさん咲いていて湿原を黄色く染めている。
黄色い花は「キンコウカ」だそうだ。
どちらの湿原が良いかは個人の好みだけど、自分は熊沢田代の湿原がいいな。

うっそうとした樹林帯の中、御池を目指して岩場を下る。
大きい岩や木の根が張り出しちょっとした悪路。
やはり「ここを登りには使いたくはないな」なんて思っていると、ここを登ってくる人がいる。

「三条ノ滝」へ向かう「燧裏林道」との分岐に出ればきつい下りは終わる。
木道を歩くようになれば、御池へは500メートルと近いが、なぜかとても遠いように感じた。

御池の駐車場に出ればこの山登りも終わり。
やはり下は青空が広がり快晴。
小屋へ物資を運ぶヘリだろう、ひんぱんに荷揚げを繰り返していた。

予定通りにバスへ乗れ、先週入った「アルザ尾瀬の郷」で汗を流して帰った。










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