後立山連峰の盟主「鹿島槍ヶ岳」
北峰・南峰、両方の頂を持つ独特な山容。
どっしりとした山容、山頂直下の険しい岩稜を持つ「五竜岳」
その山々を結ぶキレット
地図には「危」マークが多くしるされているが、登山道は整備され、慎重に渡れば大丈夫。
剣岳・白馬岳・針ノ木岳等、北アルプスの主要な山が見渡せる各山頂は感動。
【月   日】2005年08月15・16・17日
【天   気】1日目/雨
【天   気】2日目/晴れのち曇り
【天   気】3日目/晴れのちガス
【季   節】
【場   所】北アルプス
【標   高】鹿島槍ヶ岳南峰 2.889m
【標   高】五竜岳 2.814m
【山行形式】1日目/冷池山荘泊
【天   気】2日目/五竜山荘泊
【風   呂】エスカルプラザ

【交通】
【行】新宿駅〜扇沢駅
【帰】エスカルプラザ〜新宿駅
【コース】
【1日目】扇沢駅〜柏原新道登山口〜種池山荘〜爺ヶ岳〜冷池山荘
【2日目】冷池山荘〜布引山〜鹿島槍ヶ岳南峰〜キレット小屋〜北尾根ノ頭〜五竜岳〜五竜山荘
【2日目】五竜山荘〜五竜岳〜五竜山荘〜白岳〜大遠見山〜小遠見山〜アルプス平駅〜(ゴンドラ)〜遠見駅
【ベスト休憩場所】
・種池山荘
・鹿島槍ヶ岳山頂
・五竜岳山頂手前
・小遠見山
【水補給】
・種池山荘(有料)
・冷池山荘(有料・宿泊者1リットル無料)
・五竜山荘(有料・宿泊者1リットル無料)
【食料補給】
・種池山荘
・冷池山荘
・五竜山荘
6月・7月のうっぷんを晴らすように、2週続けて南・北アルプスと贅沢な山登り、それも2週続けて小屋泊まり、贅沢にはお金が・・・・・

「さわやか信州号」のチケットを押さえ、いつものとおり、天気予報とにらめっこ。
ポイント予報を見てみれば、1日目は雨、2・3日目は晴れのち雨。
2日目のキレット越えに雨はきついが、行って様子を見て、2日目が悪天候なら小屋で停滞し、3日目に下山か、「針ノ木岳」へのコース変更、と決めて出発。

大江戸線「新宿都庁前」駅下車、A2出口を上がれば、「さわやか信州号」の集合場所。
お盆休みの中日なのか、例年よりなんとなく人が少ない気がする。
早めに出発手続きをすまし、クーラーがかかっていない蒸し暑い車内で待っていると、隣には同じく単独登山者のおじさんが座り、自分は白馬岳へ行くとのこと。

前々日、白馬岳の葱平(ねぶかたいら)付近で、土砂崩れ死亡事故がおきたが、もう通れるのか心配の様子。
5日間休みがあるそうで、状況によって対応できるし、明日は雨らしいので、ひどい雨なら麓で宿に泊まって温泉にでもつかるかと・・・・うらやましぃ〜〜〜〜
バスは定刻通り、乗車率100%で出発。

今回で3回ほど乗った「さわやか信州号 新宿〜白馬行」
途中の休憩で止まる場所はいつも同じで、近くにある「セブンイレブン」で朝食を仕入れ、6時間かけAM5:00、扇沢駅に到着。

すでに外は雨、しかし空には雲の切れ間があり、もう少し待っていれば雨がやみそうな雰囲気。
できるだけ雨具は装備したくないので、仕入れた朝食を食べながら待っていたが、切れ間が広がりそうで広がらない。
1時間待ってみたが、雨は上がる様子もなく、シトシト降り続いている。
あきらめ、雨具を装備して出発。
レインウェアを着るなんて、去年の夏休み登山で着た、剣岳以来だ。

バスで来た道を戻るようにして、トンネルを通り橋を過ぎれば、鹿島槍ヶ岳・針ノ木岳へ向かう「柏原新道」への登山口がある。
登山届け入れと登山届けの用紙がきちんと置いてあるが、用意してきた登山届けをポストに入れ、登山開始。

まずはお決まりの樹林帯の山歩き。
歩き始めはいつもきついが、雨の中ということもあり、なんとなくいつもより足が重い。
樹林帯の切れ間からは、遠くの空にぽっかりと青空が見えている。
あれがこっちにも広がれば・・・・

「あっ!!・・・水」
ある程度登ってから気づいた。
水補給してない。
いや、水筒に水は入っているのだが、その中の水は、先週行った北岳から帰りのバスに乗る前、広河原でお土産と思って汲んでいった水。
まる1週間、お土産なのに家でも飲まず、ずっと水筒に入ったままの水。
冷蔵庫に入れず、ずっと部屋の中、30度以上はあった部屋の中に1週間ずっと置いてあった水。

家を出るときのザックはいつも、MAX重量が掟。
最初からその重さに慣れておいた良いような気がして。
「どうせ地図に書いてある、登山口付近の水場で入れ替えるから、そのまま持っていっちゃえ」

臭いを嗅いで見るが、特に臭くもない。
一口飲んでみるとなんとなくヌルッとしている気も・・・でもそれは生暖かい水だからという気も・・・
しかし、腹を壊すのは怖いので、ザックを置いて、軽身で登山口にある水場まで戻る。
あれ?見つからない・・・・
地図には水マークがあるのに、その付近に水場がない。
いくら探しても見つからないのであきらめた。
さらに扇沢駅まで戻る気もない。
「今、2・3口飲んでみて、お腹の調子が悪くなれば、煮沸して飲めばいいや」とザックまで戻った。

幾度となく切り返しながら高度を上げ、樹林帯の切れ間から、さっきまでいた扇沢駅が眼下に見える。
他の登山者と抜きつ抜かれつしながら、まずは一区切りの場所、「ケルン」に到着。
御丁寧に「ケルン」と表示してあり、添え鉄(?)で無理やり積み上げているケルン。
このあたりから坂も緩やかになり、下山してくる登山者と交差し始める。
水を飲んでから1時間以上たったが、心配していた水あたりはなく、このまま飲んでも大丈夫そうで一安心。
すごいぞ、水。

だんだん高山植物が目に付くようになり、落石の危険があるガレ場、登山道横の谷に虹が見えるなど、2時間以上の「種池山荘」への登山道は、変化があってそれなりに楽しめた。

雨で景色がないせいか、突然樹林帯を抜けたと思ったら、頭上に「種池山荘」見える。
展望が開け、小屋までの登りはきつくなるが、周りはお花畑。
のんびりと景色や花を眺めながら登りたいが、残念なことに雨、そしてここに来て、さらに雨足が強くなってきた。
一時「種池山荘」に避難。

小屋の土間には数人の登山者が避難中。
レインウェアを脱げば、着ているTシャツは汗でびしょびしょ。
いくらゴアテックスは湿気を通すといっても、レインウェアでのゴアテックス性能はないに等しい。
あまり長居してくつろいでしまうと、行動するのがおっくうになってしまうので、エネルギー補給・水補給をすまし、再び雨の中へ。

「天気が良ければ好展望を眺めながらの登山道なんだろうなぁ〜」と思いながら、ガスに巻かれた爺ヶ岳南峰への登りが始まる。
景色もなにもなく、ただただ登るのみ。
ときどき振り返り、眼下に見える小さくなっていく「種池山荘」を見て、ここまで登ったと自己満足するのみ。
南峰に到着も悲しいかな感動もなく、即、中央峰を目指す。
巻き道のように緩やかな登山道を歩き、ガスの中、ぼんやりと頭上に、爺ヶ岳の山頂である中央峰が現れる。
さすがに爺ヶ岳山頂である中央峰は素通りせず、ガスに巻かれた爺ヶ岳山頂の登頂証拠写真をパチリ。
さぁこれで、あとは「冷池山荘」を目指すのみ。
早くレインウェア脱いで、ビール飲みてぇ〜。

風が強くなったせいか、雨足はさらに強くなり、顔にバチバチ当たって痛い、レインウェアの防水効果はすでになくなり、素肌に張り付くレインウェアがうざったい。
樹林帯に入れば風が収まるが、雨足は風のせいではなく確実に強くなっていて、登山道は川のように水が流れている。

ぱっと視界が開ければ、そこは「赤岩尾根」との分岐である「冷乗越」。
ここまで来れば小屋まではあと少し、再び樹林帯の中を、黙々と歩き続ければ「冷池山荘」が現れる。

一瞬見た感じでは小さい小屋だと思ったが、中に入ってみれば広くて、綺麗な小屋。
まだ新築して2・3年くらいだそうだ。
受付で宿泊手続きをして、小屋の人に言われたとおり靴を下駄箱に、レンンウェアを乾燥室に入れ、再び受付に行けば、部屋まで小屋の人が案内してくれる。
山小屋で部屋まで案内されるなんて初めてだ。

今回の寝床は、部屋のロフトみたいな2階部屋。
1階部屋はすでに満員、停滞したのだろう、みんな布団の中で寝ている。
2階は6人ほど寝られ所で、すでに隣には1人先客がいるが、出かけているのだろういなかった。
寝床を作り、汗で濡れたTシャツを手すりに干し、靴下を脱いでほっと一息。
綺麗な小屋なので探究心がわき、小屋の中をうろうろ。
詳細は「山小屋・テント場」で。

お楽しみのビールを談話室で乾杯!
ふだんはあまり空腹感を感じないのだが、なぜか先週の北岳から、山小屋の夕食時間が待ち遠しいほどの空腹感。
今回は1番目の食事でPM5:00から。
たらふく食って寝床に戻り隣の人に挨拶し、見渡せば今夜2階は2人だけのようなので、男2人で布団並べて寝るのもなんなんで、広い方へ移動し、ゆったりといびきに悩まされず寝れた。
昨日は満員だったそうだ。


目覚ましがなくても、起きたい時間になれば、小屋がガザゴソし、自然に目覚められる。
今回も朝食は頼まず、かわりにお弁当を頼んでおいたが、おにぎり2個に漬物1つという寂しいお弁当。
お弁当を頼むときに「お弁当はおにぎりです」と、事前に聞いていたが、もうちょっとおかずがあってもなぁ〜。

AM4:30
外が明るくなり、ヘッドライトの必要ない状態になってから出発。
外は靄(もや)の中、薄ぼんやりとオレンジ色した朝日が、遠くの方で昇っている。
テント場を通り過ぎ、緩やかな登りの登山道周辺はお花畑。
爺ヶ岳方面は靄に巻かれて今だ姿が見えないが、鹿島槍ヶ岳方面は靄が晴れてきて、姿をだんだん現してくる。
鹿島槍ヶ岳山頂前に、まずは布引山山頂を攻略。
見上げるような急登を、ジグザグに切り返しながら、少しずつ山頂に向かっていく。
鹿島槍ヶ岳方面はすっかりと靄が晴れ、南峰、北峰の姿は確認できるのだが、爺ヶ岳方面はいっこうに靄の晴れる様子がない。
鹿島槍ヶ岳の左方には、なにやら特徴のある山が、雲海から頭を出している。
方角からいって、たぶん針ノ木岳。

布引山山頂には登らないで、巻き道を通って鹿島槍ヶ岳山頂を目指せるが、ここはやはり山頂は踏んでおく。
後方から登ってくる登山者が増えてきているのがわかるので、精神的に楽になれるよう、あまり長居はせずに鹿島槍ヶ岳へ向かう。
鹿島槍ヶ岳南峰山頂へは、やはり急登が待っているが、急登へ続くなだらかな登山道には、色とりどりの花が咲いているお花畑を通り、目を楽しませてくれる。

突然、前方にいる登山者達の驚きの声がしたので見上げてみれば、南峰への急登途中で、なにやら騒いでいる。
今いるところからではよくわからないので、そこに着けばわかると思うが・・・・なんだろ?

南峰山頂は青空、眼下には雲海、山頂での景色を期待しながら、小刻みに切り返し山頂へ登って行くと、先ほど登山者達が騒いでいた場所に到着したので、なにを騒いでいたのだろうと探してみると・・・なるほど、「ブロッケン現象」。
右側から太陽の陽が当たり、左側の靄へ虹の輪に囲まれて「ブロッケン現象」が現れている。
正直、特別感動もなかったが、自分だけでしょうか?

鹿島槍ヶ岳南峰は広く、360度の大展望、残念ながら青空は天井だけで、まわりはまだまだ雲や靄に覆われていて、きれいな山並みを見ることはできないが、今夏休み登山メインコースであるキレット越えへの、落ちるような下りは、はっきりと見える。
燃料補給をすまし、キレット越えへの覚悟を決め、まずは鹿島槍ヶ岳北峰へ向けて出発。
ほぼ垂直に、ちょこっと角度がついている急な下りだが、岩場なので、足の置き場には困らないが、踏み外したり、コケたりしたら、体のどこかの骨は確実にいきそう、とにかく慎重にゆっくりと。
ほんの5・6分下っただけだが、振り返ってみれば、南峰山頂からずいぶん下っている。
数人が山頂からこちらの方を見下ろしている。
南峰を下ればひと段落し、この先、多少険しいところもあるが、北峰との分岐までは、普通(?)の登山道とかわらない。
分厚い万年雪が見えてくれば北峰との分岐が近い。

北峰との分岐で緊張感を解き一息。
ここから南峰の眺めは良いが、残念ながらガスっていて、ときどき晴れる合間に写真をパチリ!
北峰山頂へはピストンで登ってこれるが、このガスの中、あまり気が乗らなかったので今回はパス!
1日目の天気があんなんで、展望もなんにもなかったから、またいつの日か爺ヶ岳からの展望を見に来ます。
鹿島槍ヶ岳へのピストン登山なら1泊2日で来れそうなんで、その時までのお楽しみ。

次に目指すは「キレット小屋」。
その手前には、地図上に「危」マーク。
周りはすっかりガスに巻かれてしまい、景色もなにもなくなり、幻想的な雰囲気があるせいか、目の前に登場するハシゴ場やクサリ場が、なんとなく不気味さをかもしだしている。
しばらくハシゴ場やクサリ場が続くが、そういうのが設備してあるということは、しっかりと整備されてあるということのなので、それほど危険感じる場所はなかった。
かえって、そのようなオプションのあったほうが楽しい。
眼下に「キレット小屋」が見えてくる。
「キレット小屋」へは垂直のような下りで、鹿島槍ヶ岳南峰下りに続き、本日2回目の緊張感ある登山道。
前からも後からも人は来そうにないので、慎重にゆっくり下る。

「キレット小屋」は、五竜岳から来た団体さんでにぎわっていたが、団体さんが出発し、1人だけになると、ガスに巻かれた褐色の「キレット小屋」はし〜んとしている。
次のほっとステーション「2416m地点」までへの気合を入れて出発。

手と足をフルに使って岩場やハシゴ場、クサリ場をクリア。
なだらかな登山道に出ると空からポツポツきた。
「あぁ〜2日目も雨かぁ〜」
小降りの間は、雨が止む願掛けの意味も込めて、雨具を装備しておかなかったが、残念ながら雨足が強くなってきたのでしかたなく、今だ完全に乾いていない雨具を装着。
五竜岳から来た単独者も、同じ所で雨具を用意し始めたので、お互いに通ってきた道の情報交換をしたが、いままでの道はお互いに想像していたより厳しい道ではないとの評価。
この先も慎重に行けば、無事越えられるようだ。
出発しようとしたら雨が止み、空が少し明るくなってきた。
お互い雨具を脱ぎ、「まぁ、・・・こんなもんですよね・・・」

岩場やハシゴ場、クサリ場にも多少慣れてきたせいか、順調に通過し、尾根歩きになれば、空には青空が広がり、展望がひらける。
「2416m地点」につけば、五竜岳はまだガスに巻かれていて、全姿を見ることはできないが、鹿島槍ヶ岳、針ノ木岳方面は青空、鹿島槍ヶ岳北峰・南峰の姿にシャッターを押し、針ノ木岳には雲がうまい具合にかかり、とても絵になる姿をしていて、何枚もシャッターを押してしまう。
雪渓も見え始め、あれが有名な針ノ木岳の大雪渓なのだろうか?
五竜岳から来た単独者の人も何枚も針ノ木岳へ向けてシャターを押している。
「昨日の雨の中、歩いて来たかいがありましたねぇ〜」
「三段登り」と言われる岩場を下り、「口ノ沢ノコル」に到着も、ただの登り開始のような場所だったので素通りして「北尾根ノ頭」を目指す。

「北尾根ノ頭」までは、鹿島槍ヶ岳に振り返り、針ノ木岳を望み、五竜岳が姿を現すのを楽しみながらの、快適な尾根歩き。
まだこのあたりでも、五竜岳からの登山者とすれ違うが、話をすればキレット小屋泊のようだ。
「北尾尾根ノ頭」で休憩するが、今回重大な忘れ物をしてきてしまった。
コーヒーの粉を忘れた。
ガスもガスコンロもカップも持ってきた、しかしコーヒーの粉を持ってくるのを忘れた。
1日目は雨だったから飲めなかったにしても、2日目、鹿島槍ヶ岳、針ノ木岳を見ながら・・・
残念、非常に残念、悔やまれる・・・・

再び緊張感の続く登山道が始まる。
「北尾根ノ頭」からこれから向かう方向を見ても、ゴツゴツした岩場の小さい峰を、いくつか越えなければならないことがわかる。
地図に「赤坂」と書いてあるところは、砂利道みたいな登山道で、足が滑るので登りにくい。
ゴツゴツした小峰は高度感があり、対向者とすれ違うのも難しい、よじ登ってよじ下る(?)ような険しい道だが、ルートはしっかりと示してあり、とにかくマークを目印に進めばよい。
ザックのベルトを締め、ぴたりと背中に吸い付くようにしないと、下りでザックがぶれれば、バランスを崩して危ない。

適当な場所で休憩。
ここで最後の五竜岳からの対向者。
キレット小屋までの登山道の様子を聞かれるが、「今までの中でここが一番険しいですね。ここを無事に通れればあとはそれほどでもないですよ。」
とは答えたが、上り下りが逆になる逆ルートなんでそうとは言い切れないかもしれない。

すべてが険しい峰なので、どこが「G5」か「G4」かはっきりとはわからないが、たぶん「G4」への登りだろう、ガケをよじ登っているような感覚の登り、岩肌も白いし、甲斐駒ヶ岳山頂への「直登コース」を思い出す。
前方も後方も他に人がいなかったので、落石のする心配、させる心配がないので精神的に楽。
ここを登りきれば、岩場登りは終わり、急登をジグザグに切り返しながら五竜岳山頂近くに着き、キレット越えは終了し、安堵のため息。
そこから少し行けば五竜岳山頂がある。

残念ながら五竜岳山頂は、ガスに巻かれて展望はなし。
眼下の尾根道に、今夜の宿泊「五竜山荘」が、かすかに見える。
明日晴れれば、五竜岳をピストンする予定、展望がなければ長居することもないので、一息ついて「五竜山荘」を目指す。

キレットを無事越えられたことで少し安堵感があったが、いやいや、この「五竜山荘」への下りも侮れない。
特に山頂付近は岩場の下りや、切り立ったところを渡ったりして、なんだか今日通った道で一番険しいところかもと思ってしまう程の下り。
ある程度下れば、岩場は終わり、五竜岳山頂のガスを抜ければ、麓の街並み、唐松岳や白馬岳を眺めながらの「五竜山荘」への下り。

「五竜山荘」で宿泊手続きを済まし、部屋を指定されるが、今回も2階部屋。
まだ5人しかいないが、時間的にまだまだ宿泊者が来そう。
寝床を確保し、外で景色を見ながらお楽しみの乾杯!
あまり冷えてないビールだったのが残念だが、やはり外でのビールはうまいなぁ〜。
ビール2・3本は一気にいけるが、値段が高いので1本で食事時間までもたす。

今回は1番目の食事時間。
PM5:00になり食堂へ行けば、夕食は五竜山荘名物カレーライス。
「カレー大好きっ子」なんでこれはうれしかったけど、晩酌しながら夕食をと思ってビールを持ってきた人は、夕食がカレーライスということにがっかり。
カレーライスとフルーツポンチでは、つまみになんないもんなあ〜。
飲む人はつまみ持参ですよ。
カレーのおかわりに、玉子入りハンバーグは付かなかったが、腹いっぱい3杯食って満足満足。

部屋がちょっと窮屈なので、陽が堕ちるまでの1時間、我慢できなかったコーヒーを買って飲みながら、夕焼けを期待しぼーっとしていると、大勢の人も外に出てくる。
隣に座った夫婦の話を聞いていると「小屋が湿っぽくて部屋にいたくないよね。布団も湿っぽいからウィンドブレーカー着て寝る。」
そういうのに鈍感なせいか感じなかったが、言われればなんとなくそんな気も。
だから皆、外に出てきたのかな?

ちょうど陽が落ちる西側は展望がひらけていて、びっしりと雲海が広がっている。
雲海が真っ赤に染まる夕焼けに期待し、皆、陽が落ちるのを待っていたが、残念なことに雲海は茜色に染まらず、夕陽がオレンジ色を強めながら落ちていく日没だった。
しかし雲海に埋もれていく夕陽は幻想的。
レベッカの「maybe tomorrow」聞きながら見てたら、こりゃ泣いちゃうな。

部屋に戻れば、布団がびっしりとひいてあり、8人でいっぱいな部屋に8人で寝る。
すでに寝ている人もいるようなので、食堂でニュース・天気予報を見ながら、睡眠促進液として缶チューハイを飲み、眠くなったところで寝床へ。
詳しくは「山小屋・テント場」へ。
すぐそばに隣の人の顔がありそうで、ちょっと窮屈。
初めて白馬岳へ行って、「白馬山荘」に泊まった以来の、窮屈な思いをした山小屋泊だ。

AM3:00頃から出発する人などで、小屋がざわつき始める。
4時頃まで寝てる予定だったが、「空は満天の星空」という声が聞こえたら、寝ている場合ではない。
朝焼けより夕焼けよりも、星空が見たい、星空が好き。
外に出れば空は満天の星空。
ひさしぶりだぁ〜。
寝転んで空を見上げていれば、星空の中に吸い込まれそう。

寝床を片付け、小屋の入り口で、外が明るくなるのを待つ。
今日は五竜岳をピストンして「遠見」へ下山。
慣れない3日目の山登りなのか、五竜岳への登りがきつい、ひいこら言いながら、山頂を目指す。
険しい岩場を乗り越え、五竜岳山頂に着けば、昨日の山頂とは別世界。
鹿島槍ヶ岳が見える、去年行った剣岳も見える、立山連峰も白馬岳も、遠くには槍ヶ岳の穂先も見える。
雲海が眼下に広がり、鹿島槍ヶ岳山頂が雲海に浮かんでいるように見え、キレットには霧が滝のように流れ込んでいる。
「白馬岳と雲海」「太陽と雲海」、とにかく雲海が凄すぎる、見事すぎる、絵になりすぎる。
シャッターが止まらない、撮っても撮っても、撮りたいのがありすぎる。
これを見ただけで、1日目の雨、2日目のガスまみれなキレット越えも、すべてふっ飛んだ。
他の人達も感激が止まらない。
お互いに記念写真を撮りまくり、山頂から離れられない。

あまり山頂を独占していても、ぞくぞく登ってくる人達に悪いので、山頂から少し離れたところで、朝食用に頼んでおいたお弁当を食べながら、引き続き景色を堪能。
「この景色を眺めながらのお弁当はおいしいでしょう」と言われたが、確かにうまい。
小屋での朝食でなく、お弁当にして、山頂での朝食をおすすめします、晴れていれば。
予定時間めいっぱいまで山頂にいて、「五竜山荘」へ戻る。

「五竜山荘」に付く頃には、残念なことに、ガスがどんどん沸きだし、五竜岳はすでにガスに巻かれ始め、ガスの切れ間にしか見ることが出来なくなってきている。
これから向かう「遠見」方面にも、ガスが広がっていきそうで、地図に書いてある「小遠見」から「鹿島槍の眺望よし」には、期待できそうにない。

快晴なら、唐松岳や白馬岳方面の眺望が良いだろうと思う白岳からの下りは、クサリ場があり険しいが、登山道には花が咲き乱れている。
これから向かう「遠見」方面や、五竜岳、「五竜山荘」はすっかりガスに巻かれ、途中にある、池糖や小さな池は写すまでもないところなので、一眼レフはザックの中へ。

あまり急いで下っても、バスの発車時間までは時間がありすぎる程なので、のんびりと下ったり展望のない「大遠見山」で長めに休憩するが、ガスに巻かれて景色がないので、どうも時間をもてあます。
コーヒーの粉さえ忘れなければ・・・

この遠見尾根はえぐれているような道が多く、日当たりも悪いのだろう、ぬかるんでいる所が多く、靴の置く場所を選ばないと、靴がドロドロになってしまうが、ゴンドラに乗る「アルプス平」駅には、靴の泥を洗う場所がきちんとあるので、泥まみれになっても大丈夫。

「鹿島槍の眺望よし」の「小遠見」へは登らず巻き道があるが、時間はたっぷりとあるので寄ってみても、ガスの中、自慢の眺望はない。
遠見方面から来た人たちも登ってくるが、なんにも見えない眺望にがっかり、雨も降り始め(すぐに止んだが)、家族連れで来ていて、いやいやついてきたような雰囲気を出していた女の子に、「もう山へは来たくないだろうな」なんて勝手に思って見ていた。

地図には載っていない「一ノ背髪」「見返り坂」を越えれば、だんだんとガスが薄くなり始め、青空も見え、麓の街並みや「アルプス平」駅が見えてくる。
「アルプス平」駅近くになると登山道も雰囲気が変わり、ちょっとしたハイキングコースに変化する。
地元の小学生の遠足だろうか、「ヤッホー、ヤッホー」うるさい。
いまどき「ヤッホー」なんて言ってる人いないよ。

「アルプス平」駅へ行くには、途中分岐が2・3度あり、時間はまだまだあるので遠回りするように「山野草園」を経て「アルプス平」駅へ向かうコースを行く。
花を眺めながら木道の上をとことこ歩き、「アルプス平」駅への下りは、花壇のように整備された中を歩いて行く。
もう終わりかけなんだろうか、花壇は少しさびしい状態。
あまり長居する所もなかったので、「登山者の方へ。靴の泥は落としてください」のような事を書いてある場所で、水とブラシを使って靴の泥を落とし、すぐゴンドラに乗車する。
事前の調べで、荷物料金を取られる事を知っていたので覚悟をしていたが、なぜか荷物料金は取られなかった。
見た目でも、確実にザックが5キロ以上あるのはわかると思うが。
ゴンドラの終点「遠見駅」そばの「エスカルプラザ」で、3日間の汗を流す予定だったが、そこで使える200円の割引券も貰ってしまった。
サービスいいぞ〜テレキャビン。

汗臭いのを気にしていたので、他人と一緒にゴンドラへ乗ることを心配したが、下りのゴンドラはすいていたので、1人で乗れてよかった。
ゴンドラを降りれば、外は青空で日差しが強い。
山の上方を見上げれば、雲に覆われていてやはり天気は悪そう。
上と下とでは別世界だ。

「エスカルプラザ」内にある入浴施設は地下にあり、窓がないのでなんとなく息苦しい。
露天風呂はないがサウナがあり、金品を預けるロッカーは100円が戻ってくるロッカー。
まだ早い時間だったせいか客が2・3人でゆったり風呂に入れたが、大きな休憩室に1人でぽつんとTV見ながら居るのは、ちょっとさみしい。
湯上りのビールを飲んで、帰りのバスへ乗るにはまだまだ時間があるので、食事でもしておくかと思い、「エスカルプラザ」内にあるレストランに行ったが、高いしあまり食べたいものがない。
「エスカルプラザ」の外に出てみても、お店はあっても営業してない。
冬はスキー場なので、スキーシーズンには営業しているようだ。

街の案内図を見てみると、「JR「神城駅」まで12分」と。
駅まで行けば、コンビニか食事できるところがあるだろうと、ザックを「エスカルプラザ」内に置いて駅まで歩く。
メジャーなコンビニではないけど、駅までの途中にありました。
のり弁と飲み物を買って、再び「エスカルプラザ」へ。
帰りは緩い上り坂なので「エスカルプラザ」まで20分かかり、日差しが強かったので風呂に入ったのにまた汗をかいてしまったが、弁当と飲み物合わせて500円ですんだので満足。
「エスカルプラザ」近くの木陰で、パラグライダーで下りてくる人や、スキーを履いて滑り、ジャンプして水に飛び込む競技を見ながら、弁当を食べていた。

帰京する「さわやか信州号」は、この「エスカルプラザ」の前に止まり、乗車できるので便利。
行きとは違い、帰りのバスはすいていたので、隣に座る人もいなく、ゆったりとして帰れた。





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