北アルプスのなかでも特徴のある山姿をしていて名の通り、剱の形をした剱岳。
カニのタテバイ、カニのヨコバイと有名な難所があり、剱岳に登ってきたことで、すこし自信が出てくる山、人に話したくなる山。
剱沢小屋からの眺める剱岳はとにかくカッコイイ。

【月   日】2004年08月16・17日
【天   気】16日/晴れ
【天   気】17日/雨
【季   節】
【場   所】北アルプス
【標   高】2988m
【山行形式】テント泊
【風   呂】みかぐり池温泉

【交通】
【行】都庁西口〜扇沢駅
【行】扇沢駅〜黒部ダム駅
【行】黒部湖駅〜黒部平駅
【行】黒部平駅〜大観峰駅
【行】大観峰駅〜室堂駅
【帰】室堂駅〜大観峰駅
【行】大観峰駅〜黒部平駅
【行】黒部平駅〜黒部湖駅
【行】黒部ダム駅〜扇沢駅
【行】扇沢駅〜新宿駅西口
【コース】
【1日目】



【2日目】
室堂〜雷鳥平〜剱御前小屋
〜剱沢キャンプ場〜剣山荘〜一服剱〜剣山荘〜剱沢キャンプ場
剱沢キャンプ場〜剱御前小屋〜雷鳥平〜室堂
【水補給】
・室堂
・剱沢小屋(沸かす必要あり)
・剣山荘
【食料補給】
・扇沢駅〜室堂駅の各駅
夏休み到来。
年に1度しか行けない3日間の山登り、今年は剱岳を計画。
3年前、2年前の剱岳登山計画は台風によって2年連続断念。
去年の鹿島槍ヶ岳登山計画も台風によって断念。
そして今年は台風接近はないが、天気予報では1日目:晴れ、2日目:曇り、3日目:雨。
う〜〜ん、微妙〜〜〜。
2日目の予報が外れ晴れることを祈り、都庁駐車場から扇沢へ向かう「さわやか信州号」に乗る。
扇沢へ行くバスは95%の乗車率。

5時20分頃、扇沢到着。
天気予報通り晴だが、半袖では寒い。
トロリーバスの始発は7時30分なので、2時間近く待ち時間がある。
都庁から室堂までの直通バスがあり、そのバスに乗れば室堂に7時30分頃に着き、待ち時間など時間を無駄にしなくても良いのだが、料金が1万3千円と高めなので待つ方を選んだ。

6時頃になると改札・待合室へ向かう階段のシャッターが開けられ、改札に順番取りのザックを置いて切符売り場へ。
早めに並んだおかげで前の方に並べたが、切符開始時刻の6時50分には、後ろの方にず〜と並んでいる。
話によると、昨日までは6時30分始発のトロリーバスがあったそうだ。
どうも皆、それに乗ろうと思って来たらしい。

事前の情報で、扇沢から室堂までの乗り継ぎは、ツアーさん優先でだいぶ待たされると聞いていたので、お昼頃までに室堂に着ければいいかと思っていたが、朝が早いせいかツアーさんは見当たらなく、順調に乗り継ぎができて、9時30分頃には室堂に着いてしまった。
直通バスで来なくても2時間差、このルートを選んで正解。
天気予報通り天気が良く、黒部ダムからの景色、黒部平の展望台からの展望、ロープウェイからの眺めを十分満喫できた。

室堂駅はシェルターのような重苦しい雰囲気があるが、階段を上り外に出れば目の前には視界がひらけ、青空の下、雄大な景色が広がる。
水場で水筒に水を満たし、最短距離で剱沢キャンプ場を目指す。
当初の予定では、乗り物の乗り継ぎで時間がかかり、室堂へ着くのに時間がかかれば最短距離で剱沢キャンプ場へ、早く室堂に着けたら「室堂-雄山-大汝山-富士ノ折立-別山-剱沢キャンプ場」という予定だったが、天気予報で2日目が曇りとの予報なので、2日目に雨が降らないことを祈りながらも「もしかしたら・・・」と言う思いがあり、早めに剱沢キャンプ場についてテントを張り、そこから行けるだけ剱岳に近づいて写真を撮る予定に変更した。

前を歩く家族連れは青空の下、見事な眺めに歓喜の声。
「思い切って来てよかったねぇ〜」「天国みたい」
自分だけでは「きれいだなぁ〜」と感じるほどだけど、そんな声を聞くとなんか感動が増してくる。
みかぐり池周辺や雷鳥平を見下ろす景色を楽しみながら、雷鳥沢キャンプ場に到着。

とても整備された広いキャンプ場。
2日目に剱岳を登って来て、時間に余裕があればテントを撤収し、この雷鳥沢キャンプ場に戻ってきてテントを張るつもり。
なにせ3日目が天気予報では雨と言うので、雨の中歩く時間は少なくしたから。

雷鳥平の景色を十分楽しんで雷鳥坂へ。
高度が上がるにつれ、お花畑があちらこちらと見られるようになり、振り返れば立山連峰を携えた室堂平全景が目に映る。
久しぶりのテント一式を背負ってということもあるが・・・・ここはきつい。
筋トレをしておいたせいか、少し休憩すれば足は回復するので、下ってくる人を優先させてあげるふりをして小休止、写真を撮る為であって休憩ではないですよ〜というふりして小休止。
見栄っ張りなんです。
しかしさすが夏休み、登山者は多い。
人が多いとうんざりするという人は多いが、いつも平日登山の私には、人が多いのは新鮮。

剱御前小舎に到着。
ここに来て目指す剱岳が目の前に。
険しい山だからよほど近づかないと見られないと思っていたので、ここまできれいに剱岳全体が見られるとは思ってなかった。
まさに剱の形の剱岳、カッコイイ〜〜〜。
槍の形の槍ヶ岳より剱岳のほうがカッコイイね。
雷鳥坂の疲れか、みんなここで大休憩。
あまり記念写真は撮らないのだが、カッコイイ剱岳をバックに記念写真を撮りたかったのでパチリ。
他の人もそうなのか、3・4人に写真を頼まれた。

ここから剱沢小屋へ行く人、剣山荘へ行く人と道は分かれるが、どちらの小屋も剱御前小屋から見える。
今まで登りっぱなしだったのが、今度は下りっぱなし。
目指す剱沢小屋の剱沢キャンプ場に近づくほど剱岳が大きくなり、テントの花との組み合わせがとても絵になる。
もっとテントの花が咲いていればさらに絵になるが、ピークを過ぎたせいかテント場は混雑していない。

テント場近くにある受付でテント張り料を払い、水場の水は沸かして飲むように、生水で飲んでいけないとの注意を受け、平らな場所を探しテントを張る。
寝床も完成して、時間はPM2時頃。
一服剱までなら2時間程で往復して来れるので軽身で出発。

剣山荘までの登山道は岩場歩きが多く少し歩きにくいが、今まで背負っていた重いザックがなくなったこともあって、それほど苦に感じずに20分程で剣山荘に着く。
剣山荘からはすぐ剱岳の登りが始まるので便利な小屋だが、剱岳が近すぎて剱岳を眺めるのには剱沢山荘からの方が良い。

剣山荘から一服剱までは30分程だが、一服剱に近づくにつれ、登山道は険しくなってくる。
登りでは楽に上がれるが、下りではちょっと慎重にならなくては危ない岩場を超えればそこが一服剱。
前剱まで行きたかったが、テントまで戻る時間、カメラしか持って来ていないことを考えてここで我慢。
一服剱からは剱岳の険しさが目の前に見え、テント場のある三田平方面の眺めも絶景。
しばらく景色を堪能、写真に収め、慎重に剣山荘へ戻る。
来たときには気づかなかったが、剣山荘の水場の水はそのまま飲める。
剱沢山荘の水は沸かさないと飲めないのに、少し離れた剣山荘の水は飲める、なぜだろう?

テントに戻ったのはPM4時30分頃。
剱沢山荘でビールを買い、小屋の展望台らしきところから、陰影がつき始めてくる剱岳の姿をつまみにしながら、至福の乾杯。
夕食をすませ、少しずつ雲が増えてきている空を心配しながらシュラフの中へ。
相変わらず眠りの浅い山での睡眠から目覚める、夜空の星を期待してテントから顔を出しても星空はなし。
再び眠りに・・・・・
ふっと目覚めると、だいぶ風が強くなっていてテントが大きく揺れる。
「やはり天気予報通りか・・」とがっかりしながら、再びウトウトと・・・

テントポールがひん曲がっちゃう、折れちゃう、テントが飛んじゃう〜。
上のほうからゴーーっと音がしてきて、その音がだんだん大きくなるとテントに突風が・・・。
中から手でテントを押さえてテントポールの負担を減らさないと、テントポールが折れると思う程の猛風で、とても寝ていられない。
時間はAM1時頃。
雨が突然激しく振ったかと思うとピタリと止む、の繰り返し。
眠さに勝てず、時々ウトウトと寝るが、突風とテントの揺れで目が覚めてはテントを押さえる、の繰り返し。
空が明るくなり始めると、テントを撤収し始める人等で騒がしくなってくる。

予定なら本日2日目、剱岳山頂を目指す予定だったが、この猛風ではとても行けない。
3日間の夏休み、ここに停滞し残り2日山に居たいが、この猛風の中ではテントが壊れないか心配。
しばらく悩んだがテントを撤収し、1日早いく山を降りることにした。
雨が止んでいる間にテントを撤収、身支度を整えることができ、来たときと同じコースを通って室堂まで。

再び降り始めた雨の中、昨日は剱岳の姿を楽しみながら下った登山道を、今日は突風に踏ん張り、霧が濃く先の見えない登山道を、岩に付いたペンキを頼りに剱御前小舎へ。
剣山荘から来た人、剱沢小屋から来た人が剱御前小舎で一息つく為に混雑している。
ここから雷鳥坂を下ろうとするが、下から吹き上げてくる猛風の為に引き返してくる人が多い。
この猛風の中を下るのは無謀なのかとも思ったが、何人かは覚悟を決めて下っていくので、自分もエネルギー補給、水分補給と覚悟を決め、その猛風の中、雷鳥坂を下り始める。

下から吹き上げてくる風がすごい。
とても正面を向いてはいられず顔をそむけるが、そむけても猛風で口のそばの空気も猛風と一緒に持っていかれ、息を吸うことができない。
小学生くらいの体なら、傘をさしたらメリー・ポピンズのごとく飛ぶことができるだろう。
風と一緒に顔へ当たる雨が痛い。
まともに向いたらメガネのレンズが割れてしまうのではないか、と思うほど猛烈に顔へ当たる。
初めて行った白馬岳を思い出した。

しばらくは突風によろめき、踏ん張りもしていたが、ある程度下ると風も強風程度におちてきた。
雨と強風の中、休憩はザックを背負ったまま岩に腰を下ろす程度で、雷鳥沢キャンプ場に着く。
もし雷鳥沢キャンプ場で風が弱ければ、テントを張ってもう1日と未練がましく思っていたが、広々としているせいかここも猛風。
やはり帰ります。

みかぐり池温泉小屋で汗を流す予定だったので、みかぐり池温泉小屋へ向かうが、今度は超猛風。
突風に2本足では立っていられなく、手を着いて4本で踏ん張りながら、なんとかみかぐり池温泉に到着。

この超猛風、みかぐり池温泉小屋には観光客も退避していて大混雑。
ありがたいことに乾燥室がありストーブが焚いてある。
入浴までの短い時間だが、また着るとき少しでも乾いているとありがたい。
入浴する前に、心配だった帰りの交通手段を確保するため、携帯電話で旅行会社へ電話をする。
帰りも「さわやか信州号」で扇沢から新宿までのバスで帰る予定だったので、最初の予定だった3日目の明日の切符を買ってある。
これを2日目の今日のバスに変更してもらえるか、旅行会社へ聞いてみると、調べてみるので少し待って欲しいとの事、またあとで電話することになった。
混雑している風呂に入り、少し乾いたレインスーツを着て、また超猛風の中、室堂へ向かう。
しかし、何組かすれ違ったが、これから剱岳へ向かう人もいた。

室堂駅は大混雑。
階段には座り込んで列を作っていて、この人達は全員帰りの乗り物待ちかと思い、「こりゃ、扇沢までだいぶかかりそうだぞ」と思ったが、この人たちは来たばかりの人達みたいで、改札に行くと即トロリーバスに乗れた。
ここまで来てみたはいいけど、この天候で駅に退避していたようだ。

帰りの乗り継ぎもスムーズにいった。
ツアーさんが何組もいて、帰りがツアーさん優先で待たされるんだと思ったが、1回の輸送能力が大きいのか、待たされたのはロープウェイに乗るために待った20分くらいだけだった。
ロープウェイ、黒部ダムからの景色は霧で真っ白。
同乗者達は残念がっていたが、自分は昨日十分満喫していたのでちょっと優越感。
黒部ダムの所で再び携帯電話が繋がるので、旅行会社へバスの確認をしたが、今日のバスに空きがあるとのことで変更を受け付けてもらえた。
変更してもらえなければ電車で帰るしかなく、余計な出費をしなくてはならなかったが、「よかった〜」。
でも変更料で500円取られた。

4年ぶりの夏休み登山は剱岳に登れず残念な結果だったが、1日目は快晴の中、黒部ダムからの景色、ロープウェイからの展望を見られ、1日目に剱岳の行けるところまで行っておいた判断、剱岳の雄姿を写真に撮れた事など、80%は満足できる夏休み登山でした。
剱岳山頂に未練はあるが、剱岳はこれにて完了。





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