湿原がいたるところにあり湿原と木道がとても絵になる山。
木道は人間が自然の中に作ったゆういつ許されるものではないかと思ってしまうほどの風景を見せてくれる。
草黄葉の時期の朝日、夕日に照らされた湿原は幻想的な雰囲気を出す。
避難小屋・湿原・温泉と好きなものが勢ぞろい。
リフレッシュがお薦めする山のひとつ。


【月   日】2002年10月14・15日
【天   気】1日目/晴れ時々曇り
【天   気】2日目/晴れのちガスのち晴れ
【季   節】
【場   所】東北
【標   高】2035m
【宿泊小屋】明月荘
【風   呂】白布温泉「かんぽの宿

【交通】
【行】五反野駅〜草加駅
【行】草加駅〜福島駅
【行】福島駅〜浄土平B・T
【帰】白布温泉〜米沢駅
【行】米沢駅〜梅島駅
【コース】
【1日目】浄土平〜酸ヶ平〜谷地平〜
【1日目】東大巓〜明月荘
【2日目】明月荘〜藤十郎〜人形石〜
【1日目】梵天岩〜西吾妻山〜
【1日目】西吾妻小屋〜若女平〜
【1日目】白布温泉
【水補給】
・浄土平レストハウス(未確認)
・金明水(明月荘から15分)
・大凹の近く
【食料補給】
・福島駅東口にセブンイレブン
・福島駅西口にローソン?(忘れた)
・駅にコンビニあり
・イトーヨーカドー/マック/Mr.ドーナッツ


・思い出の山へ
紅葉といえば東北という固定観念を捨てられず、今年も東北、西吾妻山へ行くことに。
この山は山登りを始めて、初めて宿泊で行った山ということで思い入れもあり、早朝の湿原の中を雲海から山の頂を出した風景を眺め、長く続いている木道の上を歩く、と言う思い出が忘れられず、ぜひもう一度行き、記録にも残しておきたかったので、再び訪れることにした。
なるべく安く行きたかったので行きは夜行バス、帰りは鈍行で帰ってくる予定。
・無駄な努力だった
事前に草加駅へ行き、バス乗り場を調べに見に行ったが、ここだと言うところはわからなく、駅前にバスターミナルがあるので、「たぶんそこから出発するのだろう」と、はっきりとはさせないで帰ってきてしまった。
当日、草加駅を30分前に着き、バスターミナルで待っているが、夜行バスを利用しそうな人があまり見当たらない。
マイナーな駅からの乗車なので、そんなに乗る人はいないだろうと思っていたから、あまり心配はしていなかった。
僕の乗るバスは仙台行きのバスだが、その前に山形行きのバスが来る予定だったのに、そのバスが来ない。
それが心配になり、駅員さんに「夜行バスはどこから乗るのか?」と聞くと、「駅前の通りを真っ直ぐ行って三番目の信号を左に曲がると停留所がある」との事。
しまった。
よく考えればいつも夜行バスに乗っていると、途中から乗る人は大きな駅からでない限り、普通の路線バスへ乗るみたいに、道路わきのバス停から乗ってきていた。
草加から乗る場合もそうだったのだ。
時間はまだ出発時刻に10分ほど余裕があったのであせってはいなかったが、バスなので早く来ることもあるだろうと少し急いだ。
距離や時間はそれほどかからなく、駅員さんの言った場所に着くとバス停があった。
ほんと普通の路線バス乗り場と変わらず、「高速バス乗り場」と書いた標識が建っているだけ。
待っている人も2人だけ。
バスは途中乗車らしく30分遅れて到着。
満席のバス2台で出発。
・自分のことはじぶんで
福島駅到着は時間通り。
途中のサービスエリアでは、「ここで何分停車します」と放送するのに、福島駅に着いても何も言ってくれない。
起きていたので時間と雰囲気から、「もしかして福島駅なのかな」と思ってバスを降りてみると、車掌さんが「降りるんですか」と少し驚いた様子。
荷物預けるときに福島駅までと言ったし確認しただろう。
黙ってたら山形まで連れて行かれるところだった。
時間はまだ4時前なので真っ暗。
浄土平行きのバスが出るまで4時間ちょっとあるので、少し仮眠をしておきたい。
駅が開くのは5時30分。
駅そばにカラオケボックスがあったが祭日はAM5時で閉店。
しかたなく風のあたらないビルの片隅でマットを出し、上着を掛け布団代わりにして6時まで寝ていた。
さすがに6時になると通勤などで人がたくさん通る。
人目も気になる。
ここがまだまだ小物。
起きて周辺調査をして、駅でバスの時間まで待つ。
・再び来たぞ
浄土平行きのバスは、ほぼ満席で出発。
祭日なのに以外。
浄土平は風が強く、車の駐車場はだんだん埋まってきている。
道路も車がつながっている。
観光の人が多く、山登りの格好をしている人は、小さいザックを背負った日帰りの格好が多い。
観光の人は吾妻小富士を目指し、山登りの姿をしている人は、一切経山へ向かう人が目に付く。
僕は前回来た時、一切経山を登り、烏帽子山、東大巓へ向かったが、今回はコースを変えて鎌沼から谷地平へ向かい、東大巓へ向かうことにした。
前回は天気があまり良くなく、一切経山山頂へ登っても五色沼が良く見えなくて、本当ならもう一回行って写真に収めておきたかったが、そこから先がそれほど良い登山ではなかったという思い出があり、一切経山山頂へ向かう途中から見下ろして、きれいだった酸ヶ平湿原の方を今回は選んだ。
前回来た時よりもきれいになった浄土平の木道を、鎌沼方面へ向かう。
周辺の木は紅葉しているが、もう終わりかけで紅葉しているのか枯れはじめているのか、判断が難しい。
・草黄葉ってこんなにきれいだったのか
軽い登りを終えると、目の前に草黄葉した湿原と、長く続いている木道が見える。
前回、一切経山から見下ろした所に着いた。
草黄葉は真っ盛り。
枯れているのではなく、まさに黄葉。
こういう色の草黄葉というのは初めて見たが、とてもきれい。
しばらく木道を歩いていると、鎌沼が見えてくる。
名前のとおり鎌のような形をしており、沼の周辺を沿うようにして木道が続いている。
日帰り予定の人たちは、思い思いのところで休憩したり昼食をとっている。
木道は鎌沼を一周できるようになっているが、谷地平へ向かうには途中の分岐で分かれる。
谷地平方面へ向かうと、人はがくんと少なくなる。
木道は続いているが、途中、木道脇に2体の姥神石像が見えると、木道を外れて山道が始まる。
道は下りが続き、だんだんと傾斜がきつくなってくる。
途中で、見るからに宿泊してきたと思える登山者3組とすれ違う。
先にはこれから谷地平へ向かっている、日帰りの格好をした2人の登山者もいた。
このきつい下りをまた登ってこなければならないのは大変だ。
長い間下ると沢に出る。
地図に載っていない、きれいな谷地平避難小屋が見える。
持っていった1999年の地図には載っていないので、出来てからそれほど経っていない小屋なのだろう。
・ここに来る価値はある
ここからひと登りすると、谷地平の湿原が目の前に広がる。
酸ヶ平の湿原と大きさはそれほど変わらないと思うが、幅はこちらのほうがある。
人がいないぶん、しーんとしていてのんびりとした雰囲気になり、時間がゆっくりと流れている。
この景色を見たり雰囲気を感じると、あのきつい道を往復しても、ここまで来る価値はあると思ってしまう。
誰もいないと思って歓喜の声をあげながら写真を撮って歩いていると、木道で休んでいる2人連れがいた。
日帰りのようだ。
ここに居て初めて人に会ったと言っていた。
・自分を誉めてあげたい
のんびりと谷地平湿原を過ごし、山道に入るので木道を降り、前にある浅い流れの川を渡ろうと、川の中に足を着くと思った以上に足が沈む。
驚いてもう片方の足を着いたら、靴全体が川の中に沈んでしまった。
うわぁ!
着いた右足の靴の中に、水が入ってしまった。
急いで靴を脱ぐと、靴下と靴の下敷きがびしょびしょ。
ズボンも裾がびしょびしょになってしまった。
変えの靴下は、風呂上がり用の薄い靴下しかない。
靴下を変えても、靴の中が濡れていては靴下が塗れ、足がふやけ、靴擦れや皮向けの恐れがある。
しか〜し、秘密兵器登場。
以前、大雨の中を登山をしたとき、長時間の雨だったので革靴でも水がしみて、靴下まで濡れると言うことがあってから、ゴアテックスの靴下を高いけれど購入していて、雨具の中に入れておいてあった。
これの出番がついに登場。
薄い靴下を履いて、その上にゴアッテクスの靴下を履く。
そうすれば靴の中が濡れていても、靴下は濡れないですむ。
初めて使ったが、ゴアテックスなので蒸れず、なかなか快適。
靴の下敷きがなくても、薄い靴下と2枚履いているので、それなりにクッションが効く。
「買っておいてよかった」と心から思った。
濡れた靴下と下敷きはザックに吊るして乾かしていたが、天気があまり良くなく、風が冷たいので乾かない。
気を取り直して出発。
・こちらのコースで良かった
樹林帯歩きの登りに変わるが、登山道にはぬかるみが多い。
ここだけではなく、この山登り自体ぬかるみが多い山で、前回行った烏帽子山コースもぬかるみが多かった。
陽があたらないせいだろう、多くの人が通るから、ぬかるみはぐちゃぐちゃ。
足の置く場所を考えないと、靴がぬかるみにはまって、どろどろになってしまう。
紅葉する木が少ないのか、色着いている葉はところどころに見られるほど。
陽は射したり隠れたりと長い時間あたらず、靴下は乾きそうにない。
だんだんと背の高い木が少なくなってくると、烏帽子山コースとの合流地点に着く。
このあたりから再び湿原が所々に現れてきて、きれいな木道の上を長く歩く。
見通しがよく、山のあちらこちらに湿原があり、湿原の多い山だと言うのがわかる。
遠くには多分、今夜宿泊する宿だろう明月荘が見える。
東大巓へ向かう木道を登っていると思ったのに、いつのまにか山頂を離れ、下りの木道に変わり始めている。
結局、どこか東大巓の山頂だったのかわからず、明月荘への分岐についてしまった。
・懐かしい
明月荘へ行く道は分岐から長く、1周しているのではないかと思えてしまうほど、くねくねと曲がっている。
ときどき木の間から見える明月荘で、小屋のある方角が判断できるが、見えないと小屋のある方角がわからなくなってしまうほど方向感覚を狂わされる。
このせいで分岐から小屋まで、20分近くかかってしまうのだろう。
小屋はしーんとしていて、誰もいない様子。
雰囲気も小屋の作りも前回来た時と変わっていない。
なつかしい。
中に入ると誰もいなく、前回は1階で寝たので今回は2階へ。
水場は小屋から15分ほど離れているが、途中から見る景色も良かったと記憶しているので、楽しみにしながら水を汲みに行く。
水場までの木道も新しくなっていて安心して歩いていられる。
展望が開けると記憶に残っている景色が目の前に広がるが、なぜか思い描いていた景色と違うような感じがして感動が少ない。
少し記憶の中で美化されてしまっているようだ。
水を汲んで先ほどの場所から景色をしばらく眺めて小屋に戻ると、小屋から話し声がする。
中に入るとおばさんの2人組が1階にいた。
あいさつをして軽く話をし、陽が落ちる前に前回行かなかった小屋のそばにある、弥平衛平湿原へ向かう。
・来た者にしか味わえない
木の茂った道を抜けると目の前に、今まで見てきた湿原の中で一番大きい湿原が広がっている。
前には木道がずっと延びていて、左手向こうに見える木道とつながっているらしい。
池糖が所々にあり、草は草黄葉、陽が降り始めるころには夕日に照らされて、さらに色濃くなる。
小屋にいた人達も水を汲みに行ったらしく、ここにいるのは自分ひとり。
なんともいえない。リフレッシュ。
こんな景色を見たり雰囲気を感じてしまうと、作られた遊び場などに出かけても一歩引いてしまい、素直に楽しめなくなってくる。
どこまでも続く木道を歩き、区切りのいい所で引き返してきた。
時間があれば先の先まで行ってきたいが、陽も傾き始めているので引き返して戻るころには暗くなってしまう。
今夜の宿泊者は僕を入れて3人。いびきもなく静かな夜だった。
・1人になりたい
5時ころにはごそごそと音がしだして、同宿者の人達は5時30分に出発。
ここから籐十郎までの湿原歩きは一番楽しみにしていたところで、できるなら1人っきりで静かにのんびり歩いて行きたかったから、同宿者の人達が出発して時間がたっぷりあいてから僕も出発。
空は雲もなく快晴。
霜などで濡れていて滑る木道を注意しながら歩き、楽しみだった湿原に到着。
湿原は朝日に照らせれていて、夕日に照らされていたのとは違った色を見せてくれている。
今までの湿原は山に囲まれていたが、ここの湿原は雲海から頭を出した山々を眺めながらの木道歩き。
この湿原と朝日に照らされた湿原と木道、雲海から頭を出す山々、この景色がずっと頭に残っていた風景だった。
写真をたくさん撮ったが、一番良いポイントからは逆光になってしまう。
待っていられるほど時間がないので、記憶に入れておいて先を目指す。
もう来ないと言う気はなく、これからも何回か来る予定だから。
木に覆われた木道に入り、出るとまた湿原が現れるということを何回か繰り返す。
木道から見える山を見ると、穴があいたように湿原がぼこぼことあちらこちらに見える。
湿原が多いということは、水気が多い山と言うことなのか?
だからぬかるんだ道が多いのかな?
・暗雲が
楽しみにしていた湿原を通り過ぎ、人形石を目指していると、これから向かう方向に、だんだんと黒い雲が広がってきている。
正確には雲ではなく黒い霧。
雨を降らすものではない。
風も強くなり始め、山の上にある人形石近くでは、帽子などが飛ばされてしまうほどの強い風。
周りもすっかり黒い霧に覆われ、眺めはなくなってしまった。
この山から発生しているのか、この山だけがこの黒い霧で覆われているようで、上空は青空らしく切れ間からは太陽が顔を出すときもある。
ちょうどいい風除けの大きい岩があったので、そこに隠れてコーヒータイム。
・許される人工物
景色も何も見えないまま人形石をあとにすると、山を下るような形で木道が先のほうまでずっと続いている。
ここから見下ろす風景もまた見事。
よくぞここまで木道を作ったと感心してしまう。
この近くにはリフトがあり、観光客でもこの辺りには来れるようになっているので、たぶんその人達のために木道をここまで整備してあるのだろう。
木道もしっかりとした作りになっているので歩いても安心。
周りも山に囲まれるようになるので、風も弱まり黒い霧もここに来た時には晴れたので眺めも良い。
相変わらず、誰もいない木道を1人でのんびりと歩いていられる。
山を下り、木道が終わるところに水場がある。
ここから梵天岩を目指しての山登りが始まる。
・時々見えるからこそうれしいのかな
ほとんど木に覆われて景色はないが、しばらく登れば湿原と木道が現れる。
また霧に覆われてしまい景色は良くないが、時々、霧の切れ間から特徴ある岩が上のほうに見える。
たぶんそれが目指す梵天岩だろう。
道が木道から岩歩きに変わりだし、石に付いた目印を頼りに進んでいると、石がごろごろあり、祠と特徴的な大きい岩がある梵天岩に到着する。
強い風と黒い霧に覆われた梵天岩からは眺めが良くない。
しかし、風が強いせいか、霧の流れるのが早いので、時々切れ間から見事な景色を見ることが出来る。
前回もここからの景色は同じく良くなかったので、今回は時間の許すかぎり待っていようとカメラを構えていると、ガスが晴れるチャンスがあらわれ、少しの間だけど風景を眺めることが出来た。
西吾妻山山頂は前回も行ってきたが、景色も何もない標識があるだけの山頂とわかってるけど、ここまで来たからには山頂を踏んでおかないと。
山頂を通り過ぎて、西吾妻小屋を目指す。
前回は2泊3日でこの山に来たので、西吾妻小屋にも宿泊した。
中をのぞくと変わっていない。
・西大巓へは行きたかった......かな?
最初の計画では、ここから西大巓へ往復してくる予定だったが、「この霧では行ってもしょうがないだろう」と今回も断念。
前回も朝、西吾妻小屋で起きて見ると霧で真っ白だったので、西大巓へ行くのを断念していた。
前日は天気が良かったので登ることも出来き、途中の水場までは水を汲みに行ったので登ることも出来たが、「明日の朝散歩がてらに往復してくればいいや」と、翌日に後回した結果、霧で真っ白。
「西大巓へ行けなかった」と、いうのがずっと後悔していたが今回も。
しかし、最近本で西大巓の裏にはリフトがあり、簡単に西大巓へは行けるという事を知ってしまったので、少し西大巓へのこだわりが薄れてしまったということもある。
小屋の前で休憩していると、今日初めて人に会った。
ザックに吊るしておいた靴下が、ここにきてやっと履けるくらいまで乾いたので履きなおし、白布温泉へ下る。
・完全制覇
前回は真っ白だったので、歩く気がせずにリフトで降りてしまったが、今回は歩いて下山する。
下っていくにしたがって木に覆われ始め、景色はなくなっていくが、紅葉している木があわられ始めてくる。
下へ行くほど身頃を向かえた紅葉が増えてくる。
木の間から向こう側に見える、山周辺のリフト乗り場やホテルがあるところは、紅葉の真っ盛り。
悔しいことに、だんだんと霧が晴れてきて、空には青空が広がってきている。
下ってきたからそう見えるのであって、上に登れば霧に覆われているという状態ではない。
すっかり霧が晴れ、西吾妻山は青空の下。
普通は朝天気がよく、午後になると雲が出てくるというのがパターンだが、今回は反対になってしまった。
・満足した
でも今回は不思議と悔しさがあまりない。
山頂からの景色よりも、湿原の風景に満足してしまったせいだろう。
この山は秋田駒ケ岳に続き、もうひとつお気に入りの山になりました。
また来たい。
沢の音が聞こえれば山の終わりは近い。

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