南アルプス盟主北岳の両翼を担うみたいな仙丈岳と甲斐駒ケ岳。
二山の比較対象として女性的な山と言われる仙丈岳に対し、男性的と言われる甲斐駒ケ岳。
花崗岩に彩られ山頂付近は白く、魔利支天を携え、登りたい山でもあるが眺めていたい、写真に撮りたい山。
【月   日】2002年08月21・22日
【天   気】21日/晴れ
【天   気】22日/晴れのちガス
【季   節】
【場   所】南アルプス
【標   高】2965m
【山行形式】テント泊
【風   呂】さくらの湯

【交通】
【行】五反野駅〜秋葉原駅
【行】岩本町駅〜新宿駅
【行】新宿駅〜北野駅
【行】北野駅〜高尾駅
【行】高尾駅〜甲府駅
【行】甲府駅〜大樺沢出合B・T
【行】大樺沢出合B・T〜北沢峠B・T
【帰】北沢峠B・T〜戸台口B・T
【行】戸台口B・T〜高遠B・T
【行】高遠B・T〜新宿B・T
【コース】
【1日目】
【2日目】
北沢峠〜北沢長衛小屋
北沢長衛小屋〜仙水峠〜駒津峰〜甲斐駒ケ岳〜駒津峰〜双児山〜北沢峠〜北沢長衛小屋
【水補給】
・長衛荘(宿泊者のみ)
・北沢長衛小屋
・仙水小屋
【食料補給】
・甲府駅近くにコンビニ
・長衛荘(食事)
・台風か、、、、
年に一度しか行けない夏休みを利用しての、2泊3日で行く登山。
何ヶ月も前からどこに行こうかと検討し、計画を練り、交通の切符も手配済み。
1週間前の週間天気予報では晴れ時々曇りと、天気は大丈夫みたいと一安心。
しかし3・4日前から突然台風が発生し、ちょうど夏休みに接近すると言う。
去年の再来。
去年も夏休みの3日間に台風が日本上陸し、泣く泣く北アルプス「剣岳」を断念。
今年も去年行けなかったからと、「剣岳」を再計画したのだが、、、、。
「扇沢」へのバスのチケットは、無返金キャンセル。
帰りのバスのチケットも、30%キャンセル料金を取られた。
このまま3日間どこにも行かない、と言うわけには行かない。
南アルプス方面が台風一過か、残り2日間が晴れるとのこと。
今年の計画に入っていた、甲斐駒ケ岳か鳳凰三山のどちらかを候補に上げ、台風一過ということで、快晴のなかでの、甲斐駒ケ岳の雄姿を写真に収められることを願って、甲斐駒ケ岳に決定。
雨の月曜日に急いで計画を練り、テント泊で行くことにする。
去年の仙丈岳へ行った経験から、今回は北沢峠〜戸台口〜高遠〜新宿方面を、帰りの交通手段とした。
山登りの汗を流せる所が、広河原ロッジでは時間的に少し不便。
甲府駅のサウナには入りたくないし。
調べてみると、高遠に日帰り温泉施設がある。
さらに高遠から新宿まで行くバスは予約制だが、インターネットやセブンイレブンの端末から予約できるとのこと。
セブンイレブンの端末で予約すると、すぐ手続きと支払いが終了し、水曜日の帰りのバスのチケットが購入できてしまった。
便利な世の中になったものだ。
・毎年のことではないの?
甲府駅にはやはり、登山の格好をした人達が目立つ。
駅前の広河原行きへのバス停には、すでにバスを待っている人達が列を作っている。
バスの発車時刻近くには、バス待ちの登山者がバス停にあふれていた。
バスが1台でやってくるが、1台では全員乗れないのは一目瞭然。
バス会社も当然こんなことは承知のことで、手際よく数台のバスを用意しているだろうと思っていたのだが、どうも様子がおかしい。
しきりと無線で会社と連絡し、2台目3台目のバスが用意できるのかと相談している。
僕は運良く1台目のバスに乗れたのだが、発車時刻が来てもバスは出発しない。
バスが用意できなければ、このバス1台に詰め込む気なのだろう。
しだいに乗客から文句が出てくる。
「これから楽しい山登りに行くのに、そんなにカリカリしなくても」と思いながら、オロオロしている運転手さんや車掌さん、イライラしている乗客の様子を眺めながら楽しんで、、、、、いや、どうなるのかと心配しながら、発車するのを待っていた。
結局、2台目のバスを用意できるらしく、30分遅れで発車。
それにしても夏休みなんだし、毎年恒例のことでバス会社もわかっていることだと思うのだが、、、。
相変わらず料金徴収での、広河原と大樺沢出合(おおかんばざわであい)との違いを、何人もの人に説明している車掌さんの声を聞きながら、広河原へとバスは向う。
それにしても2時間の乗車時間は長いなぁ。
それに30分遅れで発車したから、大樺沢出合で北沢峠へ行くバスに乗り換える時間がギリギリなので、トイレ休憩も希望者がいなければなし。
なので2時間座りっぱなし。
大樺沢出合での乗り換えも急がされ、乗り換え時間5分でバス3台が出発する。
・夏休みだね。
平日だがさすがに夏休み。
人がたくさんいる。
バス停側の長衛山荘は「予約していない人は、本日宿泊できません」と書いてある。
仙水小屋も予約してないと泊まれない。
お盆過ぎなのに、こんな状態ではお盆時はどれほど混雑していたのか。
普段の平日の山は中高年が多く、僕なんかはいつも若い方の部類に入るのだが、さすがは学生が夏休み期間、北沢峠にも普段の山登りではあまり見ない、学生の登山者が多い。
良かった。登山する人は中高年しかいないのかと思っていた。
北沢峠から20分ほどバスで来た道を戻ると、北沢長衛小屋がある。
ここにテント場があり、小屋で手続きをしてテントを張る場所を探す。
・あっそうだ。
テントを張り終わっても、時間はまだ2時頃。
夕食を作り始めるには、まだ早く、一杯飲むにはまだ早い。
明日の出発を5時頃に予定していたので、多分まだ薄暗く、仙水小屋までの登山道の写真は暗くて撮れないだろうと思ったので、「今から行って仙水小屋までの写真を撮っておこう」と、仙水小屋まで行くことにする。
我ながらナイスな判断。
仙水小屋までは片道30分くらい、往復で1時間。
腹ごなしにもちょうど良い。
仙水小屋までは沢沿いを歩き、しばらくすると樹林帯の中を登るようになる。
何があるわけでもなく、ただ登り少し斜面が急になってきたなと思うと、仙水小屋が見えてくる。
それほど拓けているような所に小屋があるわけでなく、小屋を建てる為に切り拓いたような場所に小屋が建っている。
見た目、それほど大きい小屋には見えない。
でも、テント場は北沢長衛小屋のテント場より、のんびりできそうな雰囲気がある。
あまり長居する所でもないので、写真を撮ったら、とっとと戻る。
テントに戻り夕食を済ませ、明日に備えて寝る。
テント場のテントもいつの間にか増え、にぎやかになっている。
大学の山岳部や高校生位の子達など、若い子の集団が多い。
・えっずいぶん早いなぁ
3時半ころには準備を始める人達がいて、ごそごそしているので、僕も起きて朝食の準備を始める。
4時半には準備も整い、「もう少し明るくなるまで」と、待っているとテント場脇の登山道を、ヘッドランプの明かりをつけて進む集団が。
ツアーの人達だ。
北沢峠でツアー団体をいくつも見たので、「ツアーの人達が小屋で朝食を食べている間に出発しよう」と、考えていたのに、先を越されてしまった。
すぐに後を追随し、無事、仙水小屋へ着く前には団体さんをクリア。
仙水小屋から先も樹林帯歩きが続き、樹林帯を抜けるとゴーロ沢に出て、仙水峠までの岩歩き。
足を着く岩を選び、足を着く場所を探しながら歩くので、少し歩きにくい。
仙水峠は早川尾根との合流点であり、摩利支天と甲斐駒ケ岳山頂が、姿をあらわしてくれる。。
仙水峠からまた樹林帯歩きが始まるが、先ほどの樹林帯より傾斜が増す。
だんだんと高い木が少なくなり始めると、展望が開けてくる。
振り返れば北岳と鳳凰三山の地蔵岳にあるオベリスク、鳳凰三山の後には富士山が頭を出し、右手には仙丈岳が見える。
摩利支天を携えた甲斐駒ケ岳も姿をあらわしてくれるが、逆光なので花崗岩での白い山肌はまだ、はっきりとあらわれていない。
景色を振り返り、振り返り見ながら登っていると、いつの間にか高い木がなくなっている。
駒津峰には3人組みと単独の登山者が先客でいた。
甲斐駒ケ岳がドンと、目の前に迫っている。
右へパーンしていくと、鳳凰三山や北岳、富士山、仙丈岳などのパノラマ。
この景色でパノラマ写真を作ろうと撮ったが、うまくできてるかな。
・ちょっとびびった。
駒津峰から六方石までは、ヤセ尾根を歩く。
ヤセ尾根でも左右は切り立っているわけでなく、木が生えているのでスリルはない。
もしここでツアー団体さんの集団が先にいたら、黙って後ろにくっついて行くしかないだろう。
幸い前には3人組の登山者がいるだけで、適度な距離が開いていて、自分のペースで歩いていられる。
六方石から甲斐駒ケ岳山頂へは、岩場を登る直登コースと、摩支利天へ向い山頂へ行くコースに分かれる。
同じコースを登り下りには使いたくないので、行きは直登コースを選択する。
手に岩の感触を感じながら、三点支持を頭に登る。
直登なので高度感もあり、岩の間に足が挟まってしまい身動きが取れなくなったりと、ちょっと怖い思いもした。
しかし、小休止でコースから外れた岩の上に座り、景色を見れば気分爽快、まさにリフレッシュ。
岩登りはそれほど続いていなく、山頂まであと3分の2も来れば、2本足で歩くようになる。
白い登山道を歩いていると、「あぁ甲斐駒ケ岳に登っているんだな」と感じる。
山頂には祠が建っていて、展望は360度。
展望はあまり変わらずに、鳳凰三山と富士山、仙丈岳それに摩利支天が加わる。
しかしだんだんとガスが湧き出してきて、北岳は山頂の一部しか見えていない。
あと1時間もすれば、ガスに巻かれてしまうのではないか、という状態になっている。
ここまで来た様子では、山頂にはあまり人は来ていないと思っていたのだが、たくさんの人がいる。
30分ほど景色を楽しみ、下りは摩利支天へ向う登山道を下る。
・団体さんをうまくかわせ。
道は砂利道で急ということもあり、滑らないように慎重に歩く。
摩利支天へは、途中で道が分かれ、寄り道をするような形になっている。
摩利支天へ向う気でいたのだが、後から大学の山岳部パーティーが来ていたので、それに抜かれたら大変だと思い、摩利支天へは行かなかった。
今考えれば、なんで大変だと思ったのだろう。
歩くペースは当然向こうの方が速いだろうから、抜かれても追いつくことはないと思うのだが。
せっかく甲斐駒ケ岳に来たのに、摩利支天へ行っておけば良かったと、今になって後悔。
六方石に着く頃になると、甲斐駒ケ岳へ行く人とすれ違うことが多くなってくる。
しかし中高生の団体さんや、40人程のツアー団体さん等は、こちらが一人のせいか先に通らせてくれて、時間をそれほどロスしないで歩けた。
やはり夏休み団体さんが多い。
団体さん同士のすれ違いは大変だろう。
後の大学の山岳部のパーティーより前にいて、やはり正解だったのかもしれない。
・早めの行動は鉄則。
さっきよりも駒津峰には人がたくさん。
ほとんどがこれから、甲斐駒ケ岳山頂へ向う人達。
これから山頂へ向う人達には残念なことだが、だんだんとガスが甲斐駒ケ岳山頂を覆い始めて来ている。
たぶん、ここの人達が山頂に着く頃には、ガスに巻かれて景色が見られなくなっているのかもしれない。
早めに出発して正解だった。
最後の甲斐駒ケ岳の姿を小休止しながら眺め、双児山を経由して北沢峠へ下る。
見下ろすような登山道を下るが、この辺りはすっかりガスに巻かれている。
登ってくる人の中には、ガスっていることをぼやきながら登ってくる人もいる。
長い下りが続き、このまま北沢峠へ下って行くのだろうと思っていると、双児山への軽い登りがある。
双児山山頂は山頂という感じはなく、何の特徴もない所で、展望も一部分が開けているのみ。
今回はガスに巻かれているので何も見えなく、水分補給をして出発。
北沢峠へはジグザグに切り返しながら、樹林帯の中をひたすら下っていくのみ。
・帰りはこちらの交通がいいな。
北沢峠発のバス発車時刻1時間前にテント場に着き、テントを撤収しバス停に向う。
前回、仙丈岳へ行ったときや、昨日着いたときに見たら、戸台口行きのバスは、あまり乗る人がいなかったのに、今日は30人位並んでいる。
「何でこんなに、このバスに乗る人がいるのだろう」と思っていたら、ほとんどの人はツアー団体の人達だった。
個人で乗る人は、僕を入れて5人ほど。
バスの運転手さんも、何でこんなに並んでいるのだろうと驚いた様子で、バスを2台用意してきた。
運転手さんの話では、今年は雨が少なく、花もあまり咲かないし、咲いている花も小さめなので、今年の紅葉が心配とのこと。
前回や前々回に来た台風で、そんなことはないだろうと思っていたが、台風でもあまり雨は降らなかったそうだ。
川の水も少ないと言っていた。
1時間で戸台口に着く。
ツアー団体さんは途中の仙流荘で下車し、観光バスに乗り換えるようだ。
戸台口から高遠へ行くバスに乗り換えるが、このバスとの接続が良く、3分ほどで待っただけでバスが来てくれる。
このバスの運転手さんも、雨が少ないとぼやいていた。
30分ほどで高遠バスターミナルに着く。
残念なことに、水曜日はほとんどの商店は定休日で、街はしーんとしている。
お昼頃から何も食べていなく、お腹がすいているので信州を食べようかと思っていたが、そば屋さんはどこも営業していない。
15分程歩いた所に、日帰り温泉施設「高遠さくらの湯」がある。
高遠から新宿へ行くバスの出発時間まで、2時間あるのでゆっくりしていられる。
帰りの交通時間に無駄な部分がないので助かる。
驚いたのは、高遠から新宿へ行くバスが、夜行バスで良く乗る、3列席のトイレ付だったこと。
ゆったりできるし、リクライニングも結構寝る。
夏休み時期なのに、31人乗りのバスにお客さんは10人。
普段の平日はもっとすいているかも。
帰りはこの交通手段をおすすめします。




戻る